祭りの物語からいにしえ思う

 先日、みなべ町で文化財講演会が開かれた。講師は県教育庁生涯学習局文化遺産課保存班の蘇理剛志主査で、テーマは「次代へ継承する地域の民俗文化財」。内容は同町に伝わる秋祭りなどの歴史的な由来について語った。特にことし3月に県無形民俗文化財に指定された須賀神社(西本庄)の秋祭りを中心に説明。しきたり、祭具などには意味があり、祭礼が物語として成り立っていることが興味深かった。

 須賀神社の祭神は海からやってきたという故事に基づいている。渡御は南部浜の秋葉神社を出発し、御蓋(おかさ)と呼ばれる祭具を中心に営まれる。御蓋には災いを引き起こす荒ぶる神を移動させるという意味合いがあり、最終的に須賀神社に送り込むという中世の疫神送りの祭礼に起源を持つ。荒ぶる神は社壇で鎮められると、災いをもたらす神ではなくなるという。

 こうしたストーリーは多くの祭りに存在するはずだ。日高地方には笑い祭り(日高川町の丹生神社)、クエ祭り(日高町の白鬚神社)など奇祭と呼ばれるような祭りもある。その他の祭礼にもそれぞれに由来があるだろう。秋祭りを観光に取り入れ、町や観光協会などのパンフレットやホームページなどに掲載されているケースも多いが、そうしたストーリーにスポットを当てることも地域振興のきっかけになるのではないか。

 来月は祭りづくし。2日の印南祭りに始まり、5日には日高地方最大の御坊祭りと続く。その後も週末には各所で笛や太鼓の音色が聞こえてくる。祭具の意味合い、しきたり、郷土料理に触れながら、いにしえの人々の生活や習慣に思いを馳せてみるのはいかがだろう。違った方向から祭りの楽しみ方が発見できるかもしれない。(雄)

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