数字が痛い自然災害

 記録的な猛暑だった夏の終わりに、自然災害が相次いでいる。和歌山県は先月下旬の20号、今月4日の21号と大型台風が立て続けに直撃し、その規模やルート、雨量の多さに、あらためて日本を襲う台風の変化を実感させられる。

 4日の台風の風は凄まじかった。会社で記事を打ちながら、地響きのような風の音、揺れる社屋、何かが飛んで地面に打ちつけられる音に意識が奪われ、原稿が進まない。驚きと不安、恐怖、諦め、祈り…いろんな感情が人を興奮させ、饒舌にさせる。

 フェイスブックやツイッターは強風で倒れた電柱、壁が吹き飛んだ建物、停電中の真っ暗な家の中など、台風関連の書き込みが多くみられた。これもやはり人のテンションが上がった結果か。被害に遭われた方、停電が長引いている方は気の毒だが、「いいね」はいつものように軽く押せないせいか、その数も少ない気がする。

 新聞の記事、テレビのニュースにはいろんな情報が含まれ、数字は重要な意味を持つ。日時や人の年齢のほか、災害では負傷者や犠牲者の数がそうで、今回の台風の関西空港の記事では、「最大8000人が孤立」「脱出まで10時間」などという見出しが躍った。

 大きな災害になれば必ず犠牲者数が見出しとなる。東日本大震災ではその数が倍々ゲームのように増え、受け手は見聞きするたび、肌を刺す痛みにも似た感覚を覚えた。が、すでに7年が過ぎたいま、その数字は直接の当事者ではない人にとって、時間とともにただの記号のようなものに変質してはいないか。

 自然災害の時代ともいわれる平成の最後、今度は北海道で大地震が発生した。和歌山県民は台風の傷も癒えぬまま、しばらくは数字が胸に刺さる日が続きそうだ。(静)

関連記事

フォトニュース

  1. 梅業界の発展を願って

戦争体験者に聞く 終わらざる夏

  1. 乳飲み子抱え上海から引き揚げ 御坊市島に暮らす98歳の嘉美(よしみ)さんは、1921年(大正1…
  2. 34年前、活字にならなかった一冊の本 活字の本として出版されることのなかった、一冊の戦争体験集…
  3. 船団護衛の海防艦で南方へ 1923年(大正12)8月19日、夏目英一さん(95)は日高郡旧野口…
  4. 千人針と250人分の寄せ書き発見 「あれ、これは何やろ」 1999年(平成11)8月、母の薫(か…
  5. 飛行兵志願も母が反対 小瀬輔造さん(89)は1930年(昭和5)1月7日、日高川町…

日高地方などのイベント情報

現在予定されているイベントはありません。

Twitter

書籍レビュー

  1.  「バイバイ、ブラックバード」を読むと、原典に当たる太宰治の「グッド・バイ」が読みたくなったので、文…
  2.  作者の生まれは明治18年。明治45年に執筆され、初版は大正10年とかなり古いですが、繊細な描写が特…
  3.  6月19日は桜桃忌。芥川龍之介の河童忌、司馬遼太郎の菜の花忌ほど有名ではありませんが、太宰治の命日…
  4.  銀行に7年間勤務した経験を持ち、「半沢直樹」「陸王」「ルーズヴェルト・ゲーム」など人気ドラマの原作…
  5.  幅が狭く、カーブが続き、前から車がくればすれ違うこともできず、一つ間違えば谷底に転落してしまう…。…
ページ上部へ戻る