御坊の博愛会施設 70時間ぶりに明かり

 台風21号による日高地方の停電は7日午後0時45分現在、7市町合わせて約7630世帯で続いている。御坊市の名田町はほぼ全域が4日昼前から電気がストップし、小中学校や飲食店、コンビニなどが集まる野島・上野地区は、7日午前9時ごろにようやく復旧した。多くの高齢者が入所している社会福祉法人博愛会の施設は、和歌山高専や地域の事業者の支援もあり、全サービスを停止することなく乗り切った。

 名田町は野島の和歌山高専周辺に小学校、博愛会の福祉施設、郵便局などがあり、国道の東側の高台(上野)には中学校やJA紀州の集出荷施設、日建産業和歌山工場などがある。和歌山高専のすぐ近くの博愛会の施設は、特別養護老人ホーム日高博愛園、老人保健施設リバティ博愛、軽費老人ホームケアハウス博愛の3つがあり、3施設合わせて約200人の高齢者が入所している。

 4日昼前の停電から7日朝までほぼ丸3日間、電気は一度も復旧せず、各フロアの非常用電源、屋外用発電機、太陽光発電などで照明や水道の屋上タンクへのくみ揚げ装置の電力をまかなった。それでも各フロアの空調を動かすことができず、利用者の部屋は市からも貸し出された扇風機(電源は発電機)を置き、酸素吸入や痰の吸引機器は電気自動車から電気を引いた。

 合併式の大型浄化槽も止まったが、数百人が生活するうえで排水等はすぐに満杯となるため、市内の建設業者から借りた工事現場用の発電機で電源を確保。また、利用者の食事は同じ名田町の海産物店「はし長」から鮮魚運搬用の保冷トラックを借り、食材をそこに移してプロパンガスで調理したという。

 現場のスタッフによると、今回の停電で最も困ったのは暑さ対策。幸い、停電中は風が吹いて比較的涼しい日が続き、窓を開けて扇風機で風を送り、「はし長さんから提供いただいた大量の氷を扇風機の前に置いて、少しでも涼しさを感じてもらえるよう工夫しました」。結果、利用者は1人も体調を崩さなかったが、「時期的に夏の終わりだったことが幸いで、これがもし7月の最も猛暑のころならどうなっていたか」という。

 ほかにも、和歌山高専からは浄化槽付き防災用トイレの貸し出し申し入れがあり、約200人の職員はこれを使用。小林隆弘理事長は「和高専やはし長様、市役所、その他多くの業者、地域の方のご支援により、デイサービスも利用者には事情を説明のうえ、希望される方にできる限りのサービスを提供しました。今回のような長時間の停電は初めて。災害物資等も備えてはいますが、いざ、このような事態に陥ると、次から次へと足りないもの、課題が見つかり、今後に備えて大いに勉強になりました」と話している。

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