救命胴衣装着機器 印南の海で実証実験

 船から海に転落した際、身に着けている送信機から自動的に位置を知らせることができる機器の開発を進めている和歌山大学(和歌山市)の秋山演亮教授が30日、印南町で実証実験を行った。紀州日高漁業協同組合印南町支所等が協力。完成すれば、万が一の海難事故に対する救助の遅れを防ぐ効果が見込まれており、実用化に期待が集まっている。

 機器の開発は御坊市選出の中村裕一県議が個人的に親交のある秋山教授に相談。実証実験は少ない電力で広範囲に電波が届く「LoRa(ローラ)」という通信方法を使った送信機をライフジャケットに取り付け、それを着た秋山教授が印南漁港から船で出発。海岸に置かれた受信機に通信の強度やどこまで電波が届くか確かめた。

 沖に出る前、説明会があり、秋山教授、中村県議と漁協の山本薫支所長、町商工会の中村泰介会長、古谷正信副町長、ライフジャケットを製造・提供する㈱オーシャンライフ(御坊市島)の田ノ本公平取締役らが参加。山本支所長が実際にライフジャケットを身に着けたりしながら、秋山教授から機器や実験について説明を受け、全員で船に乗り込んだ。

 開発している機器は水に浸かると、発電して起動し、位置情報を送信。受信したデータはタブレットやスマートフォンで見ることができる。ローラは秋山教授が設置した御坊市湯川町丸山の水位計でも使われており、この日の実験での通信可能距離は海岸から2㌔程度。今後も漁協等と協力して改良を加えていく。秋山教授は「海の事故にも役立てられると思うので実用化を進めたいと思う」と意欲をみせ、中村県議も「海難事故は迅速な救助が必要になるが、ネットで調べたところ、海に転落した人の位置情報を調べるのは、アメリカ製のGPS(全地球測位システム)しかなかった。このローラを使った仕組みならGPSに比べて少ない電力で、さらに手軽に使えるので、有効性、実用性が分かれば、海上保安庁に連絡するシステムを構築したり、早期の発見、救助につなげられる」と期待を込めていた。

写真=ライフジャケットを手に説明する秋山教授

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