「自分は大丈夫」が危険

 正常性バイアスという言葉をご存知だろうか。災害心理学などで使われる心理学用語で、自分にとって都合の悪い情報を無視したり過小評価する、ようするに自分にとって都合のいいように解釈することをいう。人間の心理は自分自身を守るために、予期せぬ出来事に対してある程度鈍感に出来ている。しかし、いざという時にはこの心理が邪魔をして、危機が迫っても「自分だけは大丈夫」と思ってしまうらしい。自分自身を考えても、どんなことに対しても「自分は大丈夫」と思っている。多くの人がそうではないだろうか。

 東日本大震災のときもいわれたが、西日本豪雨災害でもやはり同じような心理によって犠牲になった人が多かったと報道されている。「ここまで水はこないだろう」「警報が出ているのは知っていたが、大丈夫だと思った」と話す住民の声もあった。東日本大震災以降、子どもたちを中心に率先避難が盛んにいわれている。地震津波と今回のような豪雨による河川の氾濫、土砂災害は違うので一概にいえないが、避難のタイミングを逃すと命の危険にさらされる。

 災害に限らず、振り込め詐欺の被害、交通事故、熱中症、病気やけがなどなど、すぐに思い浮かぶことどれをとっても「自分は大丈夫」の心理が当てはまってしまう。テレビや新聞で「自分は大丈夫と思っている人ほど危ない」と警告されているにも関わらず、なかなか意識を変えることは難しい。もし考えが改まるとしたら、自分が実際に被害に遭ってからだろうか。それだと手遅れの場合もある。ハード対策も重要だが、この何の根拠もない自信をいかに捨てられるか、ソフト面で取り組んでいかなければならない教訓だろう。(片)

関連記事

フォトニュース

  1. ぜひ皆さんで食べてください

戦争体験者に聞く 終わらざる夏

  1. 根室空襲、艦載機が猛爆 大東亜戦争末期、制海権を失った日本は北海道まで米軍に押し込まれ、1945年…
  2. B29へ決死の体当たり 欧州で第2次世界大戦が始まったのを受け、米軍は1939年(昭和14)11月…
  3. 3月17日の神戸大空襲に遭遇 アニメ映画化された野坂昭如の小説「火垂るの墓」、手塚治虫の「アド…
  4. 大阪空襲の直前に帰郷 印南町山口に生まれ、現在は美浜町吉原(新浜)に住む芝﨑シヅヱさん。父五郎右衛…
  5. 乳飲み子抱え上海から引き揚げ 御坊市島に暮らす98歳の嘉美(よしみ)さんは、1921年(大正1…

日高地方などのイベント情報

現在予定されているイベントはありません。

Twitter

書籍レビュー

  1.  「悪人」「怒り」等、多くの作品が映画化されている吉田修一。最新の映画化作品は藤原竜也、竹内涼真ら出…
  2.  週刊少年ジャンプに連載中の漫画「Dr.STONE(ドクターストーン)」を紹介します。  …
  3.  短歌をやっている母の本棚に20年ほど前からあった著者のサイン入り歌集ですが、今回初めて中身を読みま…
  4.  「バイバイ、ブラックバード」を読むと、原典に当たる太宰治の「グッド・バイ」が読みたくなったので、文…
  5.  作者の生まれは明治18年。明治45年に執筆され、初版は大正10年とかなり古いですが、繊細な描写が特…
ページ上部へ戻る