体験をもとに生まれた物語です

 和歌山市在住のイラスト作家、Rui(ルイ)さんが、3作目の絵本「そばにいるよ。」を出版した。職場で受けたいじめから、死を考えた自身の経験をもとに生まれた物語。Ruiさんは「誰かの優しい言葉で生きられる人がいること、今は死ぬことを考えていても、生きていれば笑える日が来ることを伝えたい」と話している。
 スケッチブックのイラストから生まれた1作目「だいじょうぶだよ。」、2作目「わすれないよ。」。自らの心の痛みと向き合って描かれた絵本は、「涙があふれた」「親子で読みたい本」と多くの人の共感や感動を呼んでいる。
 前作に続いて主人公のウサギ「りょうま」は、友達のネコ「ごんのすけ」から仕事が決まったと話を聞く。うれしそうに新しい職場に向かうごんのすけだったが、それからしばらく連絡が取れなくなる。心配したりょうまが家に行くと、死のうとしているごんのすけがいた――。
 色鉛筆で描かれたかわいい動物たちのイラストに対して、ストーリーはシリアス。「そんなんだから成長しないんだ」とごんのすけが職場で追い込まれるシーンや、自暴自棄になって部屋を荒らすシーンはRuiさんの実体験。歯科衛生士として働いていたころ、職場でのいじめから遺書を書いたり、リストカットを繰り返したりしたという。
 りょうまを支えるシーズー犬の「うめばあちゃん」とウサギの「モネせんぱい」の言葉も、Ruiさんの祖母の教えがもとになっている。「自殺を止めてくれる友人や信じてくれる友人がいれば」という願いを込めて2匹を登場させた。表紙のりょうまは、座ってこちらを見つめるまさに「そばにいる」存在。
 Ruiさんは「職場やクラブ活動とか集団の中で悩み苦しむ人がいることに気づき、温かい言葉で支えてもらえたら。そして死を考えている人にも生きてほしい」と思いを込める。
 1620円(税込み)。宮脇書店和歌山店、ツタヤなどで販売中。Ruiさんの作品はホームページ(http://rui-house.com/)でも紹介されている。

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