おもちゃでも本物に見える

 子どもがピストルの銃口を向けてきた。見ず知らずの子どもでも、それがおもちゃだとすぐに認識でき、びっくりさせられることはない。たとえ、相手が大人でも顔見知りならば大事には至らない。ところが、これが銃社会のアメリカの場合では状況が変わってくる。おもちゃでも、子どもが持っていたとしても本物に見え、銃口を向けられた方が本物で反撃してしまったという事件も発生していると聞いたことがある。
 同じおもちゃでも偽物、本物いずれにも見えてしまうのはなぜか。その状況にもよるが、信頼関係があるかどうかが大きな鍵ではないか。社会、人間同士などに目に見えない「信頼」があるかないかで、同じ銃でも全く別物に見えてしまうのは人間の脳の怖いところだ。
 日大アメフト選手の危険タックルが、社会問題にまで発展。報道によると、指導者から「1プレー目でクオーターバックをつぶせば出してやる」や「相手がけがをしたらこっちの得」などの指示、言葉があったとされている。監督らは「つぶせ」は認めたものの、あくまでルールを無視してけがをさせろとの意味ではなかったと反論しているが、これで納得できる人はほとんどいないだろう。
 選手と監督らとの関係。本来は信頼で成り立つはずが、日大アメフト部の場合は絶対的な権威の下での支配という形だったのではと思わせる。日ごろの指導、管理を通じて培わなければならないのは信頼であり、絶対服従の関係ではないだろう。おもちゃを本物と間違うように、つぶせをけがさせろと誤認した。そうだとしたら指導者も責任を免れられないどころか大きな責任を負わなければならない。この問題にはそう感じている。(賀)

関連記事

フォトニュース

  1. 水をまいたら涼しくなるよ

戦争体験者に聞く 終わらざる夏

  1. 乳飲み子抱え上海から引き揚げ 御坊市島に暮らす98歳の嘉美(よしみ)さんは、1921年(大正1…
  2. 34年前、活字にならなかった一冊の本 活字の本として出版されることのなかった、一冊の戦争体験集…
  3. 船団護衛の海防艦で南方へ 1923年(大正12)8月19日、夏目英一さん(95)は日高郡旧野口…
  4. 千人針と250人分の寄せ書き発見 「あれ、これは何やろ」 1999年(平成11)8月、母の薫(か…
  5. 飛行兵志願も母が反対 小瀬輔造さん(89)は1930年(昭和5)1月7日、日高川町…

日高地方などのイベント情報

現在予定されているイベントはありません。

Twitter

書籍レビュー

  1.  「バイバイ、ブラックバード」を読むと、原典に当たる太宰治の「グッド・バイ」が読みたくなったので、文…
  2.  作者の生まれは明治18年。明治45年に執筆され、初版は大正10年とかなり古いですが、繊細な描写が特…
  3.  6月19日は桜桃忌。芥川龍之介の河童忌、司馬遼太郎の菜の花忌ほど有名ではありませんが、太宰治の命日…
  4.  銀行に7年間勤務した経験を持ち、「半沢直樹」「陸王」「ルーズヴェルト・ゲーム」など人気ドラマの原作…
  5.  幅が狭く、カーブが続き、前から車がくればすれ違うこともできず、一つ間違えば谷底に転落してしまう…。…
ページ上部へ戻る