梅の日の普及は地元から
- 2018/5/27
- 日高春秋
ことしも梅の日(6月6日)が近づいてきた。室町時代の1545年6月6日、晴天が続いて作物が育たなかったため京都の賀茂神社例祭で後奈良天皇が梅を献上したところ、雷鳴とともに大雨が降った。人々はこの雨を「梅雨」と呼び、梅に感謝したという。この故事にちなみ、「梅のある暮らし」を広げようと、紀州梅の会が2006年に日本記念日協会に「梅の日」として登録した。
バレンタインデーのチョコレート、節分にイワシを食べるという習わしのように、6月6日に梅を食べるという習慣を広め、消費の拡大につなげようという狙いがある。毎年、梅の日にちなんだ取り組みとして、須賀神社(みなべ町西本庄)や熊野本宮大社での式典、京都賀茂神社に青梅の献上、東京大田市場でのフェアなどを大々的に展開している。しかし、全国各地にまで普及したとはいい難い。みなべ町内をみても、学校の給食で梅干しおにぎりが提供されるが、一般の家庭でこの日に実際に梅干しを食べているかは不明である。
昨年、みなべ町農業振興協議会が町民を対象に実施した梅干しの消費動向アンケートでは、「まったく食べない」と回答した人は全体の19・4%となり、「ほぼ毎日食べる」の16・1%を3・3㌽上回った。梅の日に限らず、町では消費拡大対策として各地でPR活動を展開し、「健康と美容」の機能性もアピール。「県内で最も医療費が安い」などと声を大きくしても、住民が梅を食べていなければ説得力に欠けてしまう。
町では「梅干しおにぎり条例」が制定されているほか、「梅で健康のまち宣言」も行われている。まずは住民が梅を口に運ぶことが大切。梅の日を広めるには、まずは地元から実践することだ。(雄)