指導者の自覚も資格もない

 日大アメフト部員の悪質タックル。日大の監督はけがをした選手らに謝罪のうえ、監督を辞任したが、自身の指示については言葉を濁したまま。22日にはタックルをした選手が顔も名前も公表して記者会見を開き、監督とコーチの指示があったことを明らかにした。
 テレビで繰り返される試合の映像は何度見ても気分が悪い。相手選手がパスを投げ、プレーが中断し、脱力した選手の背後から低い姿勢で猛然ととびかかっている。故意の反則であるのは間違いなく、直後にも同じ選手が複数の反則をした。
 無防備の人間に背後からタックルをすればどうなるか。選手はもちろん、アメフト経験のない人でも大けがをする可能性があることは分かる。もし脊髄を損傷でもすればその人と家族も巻き込み、人生をぶち壊してしまう。
 前監督は「違反をしろとはいっていない」というが、自らの口で自らの指示を否定せず、カメラの前で経緯を説明できないでいる。チームの責任者としての自覚がまるで感じられず、関学関係者、被害者の家族らの怒りも当然で、刑事告訴という流れもやむをえまい。
 日大の学生数は約7万人で日本一。今回の問題はアメフト部だけにとどまらず、就職活動真っただ中の学生にも風評被害が出ているという。それほどに、情報ビッグバン社会のネットとSNSの発信力は凄まじく、名門チームの指導者でありながら、その影響力の大きさに気づいていないのだろう。
 あの数十秒の映像に、チームの素顔がうかがい知れる。自身の言動を説明するのに何の調査を待つ必要があるのか。選手と学生を守り、大学の名誉をこれ以上傷つけないためにも、前監督、コーチ、大学は一刻も早く会見ですべて説明を。(静)

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