和高専(角田範義校長)と三重県の鳥羽商船高専(林祐司校長)が3月に「包括連携協定」を締結して以降、交流第1弾として練習船「鳥羽丸」(244㌧、全長40㍍)が8日、日高港に初入港した。今後、鳥羽丸を使って海洋研究調査など海をテーマにした共同研究を行っていく。現地では入港セレモニーが行われ、齊心俊憲船長は「鳥羽丸が両校の架け橋になってほしい」と相互連携の一層の促進に期待を込めた。
和高専は昨年度からメタンハイドレートや海洋生物、海洋環境など海をテーマにした研究や教育に力を入れており、実際に海に出て調査を進めていこうと鳥羽商船高専に打診。鳥羽商船高専としても操舵技術やメンテナンス技術の指導だけでなく、海洋研究という新たな道を開くことにつながることから、全国で初めて商船高専と工業高専が協定を締結していた。
今回は両校の交流第1弾として、鳥羽丸が入港し、学生14人と9人の乗組員が案内人となって地元の幼稚園児や小学生を招いて船内見学、体験航海などを行った。入港セレモニーでは、名田幼稚園年長児が齊心船長に花束を贈呈して歓迎。齊心船長からは角田校長や園児に記念品が贈られた。
齊心船長は「建造から24年たったいまでも機動性と優れた設備を備えており、700人を超える学生を育ててきた。鳥羽丸が和高専と鳥羽商船高専の架け橋になることを祈っている」とあいさつ。鳥羽商船高専の林校長は、名田幼稚園児に「10年たったら鳥羽商船高専の入試を受けてくださいね」とアピール。角田校長は「3月に協定を結んだあと見学した鳥羽丸がいま、日高港に着岸しているのは感慨深い。御坊と鳥羽は海でつながっている。これから海に目を向けて積極的に協力して研究を進めていきたい」と決意を示した。来賓の柏木征夫市長は「日高港は紀伊半島の西と東の真ん中。ますます交流が深まっていく願いを込めて歓迎いたします」と話し、三浦源吾日高振興局長、中村裕一県議、市観光協会の古久保恭一会長も歓迎の言葉を述べた。名田幼年長児9人、名田小学校3年生22人、来賓らが船内を見学したほか、午後からは体験航海も行った。
両校は、鳥羽丸を活用して紀伊水道での海洋生物や水質のサンプリング採取など具体的な活動に向けて、現在準備を進めている。高専が海をテーマにして研究するのも全国初で、今後の取り組みに注目が集まっている。