人がうらやましくなる春
- 2018/4/3
- 日高春秋
2018年度がスタートし、入社式や入学式のシーズン。今年は桜の開花が早く、記念写真は葉桜かもしれないが、どんな先生が担任になるのか、友達はできるか、どんな上司がいるのか。期待と不安を胸に新生活が始まる。
この時期、紙面では人事異動の記事が多く、毎年のことではあるが、読者からは「先生の異動はいつ載るのか」という問い合わせもあった。記事の中には、記者であったからこそ知り合えた方も多く、お名前を見つけては、当時の出来事を懐かしく思い出す。
たとえば警察。いまから20年以上も前になるが、あのころはいまよりずっと署員と記者の距離が近かった。深夜の火事や事故では現場から署へ出向き、取材を終えたあともそのまま朝まで宿直の署員としゃべり、出勤したこともあった。
よくも悪くも男臭い社会で、顔を合わせるたびにうるさく絡んできた人もいれば、下手な取材で怒らせてしまい、出入り禁止を食らったこともあったが、厳しさの中にも努力を認めてくれる優しさがあり、真夜中の署で本当にいろんなことを教わった。
この春、一番お世話になった人たちはノンキャリのトップや大所帯の署の長となった。記事を見て失礼ながら、「あのオッサンが?」と驚き、笑ってしまったが、それ以上にうれしくもあり、消防や役場も含め、今年はいつも以上に隔世の感を覚えた。たんに自分だけが変わっていないのかもしれないが…。
人の発想の幅は、歩いた距離に比例するといわれる。ようは人との出会いが自分を成長させるということで、ゼロからの出発は不安もあるが、しんどい分だけ将来の自分に必ず大きな力になる。異動や就職、進学で新生活が始まる人がうらやましい。ご活躍をお祈りします。 (静)