若者の「休養」に理解を

 若者のひきこもりの回復支援に取り組む「ヴィダ・リブレ」というNPO法人がある。和歌山大学名誉教授で精神科医の宮西照夫さん(69)が理事長を務め、美浜町和田の宮西さんの自宅そばに活動拠点を置く。
 精神科医や臨床心理士、精神保健福祉士など医療保健の専門家のほか、自身もひきこもり経験のあるメンタルサポーターという支援者がスクラムを組み、家の中で苦しみながら社会へ踏み出そうともがく若者に手を差し伸べている。
 美浜では2年半ほど前に第1回の研修会が開かれた。その後も折々、連絡をもらって取材を続けているが、国内の現状と問題点、実際のひきこもりの現場、当事者や家族の生の声を取材し、連載記事を書きたいと思いながら、時間がとれないのがもどかしい。
 宮西さんによると、社会的ひきこもりは日本固有の若者の心の病理現象。高度成長とその後の経済的な豊かさ、受験戦争など特異な社会のありようが要因と考えられ、日本を追うように似た成長を遂げた韓国も問題は深刻らしい。
 何年も自室に閉じこもり、他人との関係を拒み、母親に対して暴言、暴行を繰り返す。周囲は勢い、「何を甘ったれとんのじゃ」と怒りに震えるが、このショック療法がうまくいくケースはまずなく、対応を間違えるとさらに状態を悪化させることになる。
 幻聴や妄想を伴う精神障害、自閉症スペクトラム障害等の発達障害、うつ病などが絡んでいる場合も少なくなく、この見極めが何よりも重要なのだが、専門家でさえ判断を誤ることがあるという。
 見極めと入り方さえ正しければ、完成されたプログラムで回復できる。家族も友達も企業や社会も、つまずいた若者の「休養」に寛容な心を。  (静)

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