世界は広いようで狭い

 初めて聞くような名前の国で生活する日本人を訪ねるテレビ番組や、インターネットのおかげで世界はますます近い存在になりつつある。映像や情報を見聞きしているだけで行った気になったり、また、行ってみたいという感情もわいてくるが、実際にはなかなか実現できない。そんな行動力のない筆者とはまるっきり対照的、世界約80カ国を訪ね歩いてきた経験を持つ御坊市の阪本美菜子さんに話を聴く機会があり、面白い内容についつい引き込まれた。
 阪本さんは2014年4月から丸3年間、アジア、ヨーロッパ、アフリカなどの約60カ国を一人旅してきた人物。宿泊の大半は現地の一般家庭でホームステイした。旅先で知り合った人に頼むのは分かるが、飛び込みで訪ねて泊めてもらったというのだから、行動力に驚かされる。とくにイスラム教の人々は旅で困っている人を助けてあげるという文化で、とても親切にしてくれたという。
 印象に残ったのは、人間の根本はみんな同じ、しかし育った環境や教育、宗教によって人は大きく変わるという言葉。ブッダのネックレスをしていた阪本さんは、イスラム教の小さい子どもに「神はアッラーだけ」といわれ、前述の思いを強くしたという。当たり前だが、国が違えば考え方も違う。
 もう一つ、恵まれた環境にあるはずの日本で、幸せだと感じていない人が多いことを悲しんでおられた。「大好きな国、インドの人のように今をもっと楽しむことを心がければ」と阪本さん流のアドバイスが妙に心にしみた。一つ一つの旅を振り返る目は輝いていた。ほんの少しでも今より心にゆとりを持ち、今を楽しもうという気にさせてもらった。  (片)

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