紅白でブレイクに期待
- 2017/11/22
- 日高春秋
大みそかの紅白歌合戦の出場歌手が決まった。紅組、白組ともとくに話題の歌手はないようで、身近な若い人たちに聞いても「興味ないし…」と反応はイマイチ。最近はオファーを受けても、辞退するアーティストもいるらしい。
白組では竹原ピストルが初めて選ばれた。一般にまだなじみは薄いように思うが、生命保険のCMソングを聞けば、「ああ、あれか」という方も多いはず。2003年に「野狐禅(やこぜん)」というフォークデュオでメジャーデビューし、6年後に解散した。
その後はソロとなってインディーズで活動を再開し、アコースティックギター一本で全国のライブハウスを回っていたが、野狐禅時代からの大ファンだったという松本人志が自身監督の映画に俳優として起用。14年には元の所属事務所に復帰し、二度目のメジャーデビューとなった。
彼の魅力はなんといっても圧倒的なボーカル。ギターを荒々しくかき鳴らし、野太い叫びのような歌声はCDでもすさまじく胸に響く。野武士のような風貌と歌、演奏は一見、荒削りだが、小手先のテクニックよりも生の音、ストレートな叫びこそが歌の力となることを思い知る。
紅白では「LIVE IN 和歌山」という曲をうたう。和歌山はタイトルにあるだけでとくに意味はなく、歌詞は、自分は精神病だといいながら話しかけてきた若者とのごく個人的なやりとり。「何がなんでも生きろ」「どんな手を使っても生きていこう」と、普遍的な本音のメッセージを込めた歌だという。
夢の紅白のステージに、あえて、この曲を選んだ理由は、まさに名刺代わりの自分自身なのだろう。パワフルな歌声で多くの人のハートをつかんでほしい。 (静)