年をとると1年が早い
- 2017/11/16
- 日高春秋
つい最近、買い物に出かけたら店の中でクリスマスソングが聞こえてきた。ちょっと早すぎるのではないかと思ったが、もう11月中旬。あと半月もすれば最終月の12月に突入し、あっという間に1年が過ぎてしまう。
毎年、この時期になると「1年が過ぎるのは早い」とはよく聞かれる言葉だが、年をとるほど時間の経過は早く感じられる。理由はいくつかあるそうだが、19世紀のフランスの哲学者ポール・ジャネが発案した「ジャネーの法則」によると、時間の心理的な長さは年齢に反比例するらしい。簡単に言うと、10歳の子どもだと1年間は人生の10分の1の長さだが、50歳の大人だと1年間は人生の50分の1になる。だから体感できる時間の長さは、割合が小さくなるほど早く感じるという。
もう1つの理由は、子どもの頃の脳は発達過程でたくさんのことを記憶しようとフル回転する。しかし、年齢を重ねると脳は経験を積んで記憶しない事柄も多くなるらしい。結果として「きょうは特別なことがなかった1日」になってしまい、体感の時間経過が早くなるという。例えば、ドライブに出かける時に同じルートを往復する場合、行きの方は初めて見る景色なので脳は記憶しようとするが、帰りは行きの時に見た景色なので記憶しようとする事柄が少なくなる。よって行きの方が帰りよりも長く感じるという。
大人になっても感じる時間を長くするには、常に新たなことに挑戦し、新鮮な経験を脳に与えることが大事だということ。「ことしも1年早かった」と感じている読者も多いと思うが、残りの1カ月半を精いっぱい充実させて、「ことしは長い1年だった」と思えるようにしていきたいものだ。 (雄)