県立博物館 道成寺絵巻一挙初公開

 和歌山市吹上、県立博物館では14日から特別展「道成寺と日高川―道成寺縁起と流域の宗教文化」を開催する。11月26日まで。国宝2件、重要文化財3件、県指定文化財5件を含む94件266点の貴重な資料が一堂に展示。同寺所蔵の重要文化財、「道成寺縁起絵巻」が史上初めて一度に公開される。
 蛇に変身しながら追いかける女性と逃げる僧の伝説で名高い「道成寺縁起」は室町時代後期、16世紀に描かれた絵巻。のちに女性が清姫、僧が安珍と呼ばれ、全国に広く知られる物語となった。大正6年(1917)に旧国宝に指定(現在は重要文化財)。100年目となることし、室町時代の制作以来初めて上下2巻(上巻は11㍍25㌢、下巻は11㍍12㌢)の全巻全場面を公開する。
 本堂の内陣正面に安置される重要文化財の千手観音立像(8世紀)も展示。国内最古級の千手観音像で、道成寺創建の頃の様子を今に伝える。今回の特別展に先立つ事前調査で、この像の旧部材が寺内から新たに発見された。腕の部材10点、足先部の部材など計13点。胸の前で手を合わせる「合掌手(がっしょうしゅ)」という資料も見つかり、1200年以上前に作られた指のしなやかさ、美しさが見てとれる。荘厳具(しょうごんぐ)として光背の部品と思われる部材(天蓋部品の可能性も)も見つかっており、奈良時代の荘厳具は県内では初めての発見という。
 同館では「道成寺1300年の歴史を縦糸に、日高川流域における熊野信仰を横糸にして織り成された道成寺縁起の成立背景をたどり、魅力あふれる道成寺と日高川流域の歴史と文化を、多数の新発見・初公開資料とともにご紹介します」と来館を呼びかけている。
 期間中、隣接の近代美術館2階ホールで講演会も開催。22日に東京大学大学院の高岸輝准教授が「日本無双の縁起『道成寺縁起』の謎をさぐる―絵師、成立年代から、最後の将軍・足利義昭の観賞まで―」、11月3日に名古屋大学大学院の阿部泰郎教授が「『道成寺縁起絵巻』絵巻が体現する伝承宇宙―絵ものがたりによる女人の龍蛇への変身」、11月19日に同館主査学芸員の大河内智之氏が「道成寺と日高川―道成寺縁起と流域の宗教文化―」と題して語る。時間はいずれも午後1時半から3時まで。ミュージアムトーク(学芸員による展示解説)は14日、11月5・25日。休館は月曜日。開館時間は午前9時半から午後5時(入館は4時半まで)。入館料は一般820円、大学生510円。問い合わせは同館℡073―436―8670。

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