14歳の最年少プロ棋士に注目

 学生の時、サークルの部室になぜか将棋盤があり、何度か駒を手にした。その時以来実際に指したことはないが、将棋は憧れの世界の一つ。知的な奥深さと熱さを感じるし、盤に駒を打つ音を聞くと身の引き締まる感じがする◆どんなジャンルでも「ただ者ではない人」を見つけるとすぐにファンになってしまうミーハーの筆者は、将棋界ではやはり羽生善治九段に関心をもって見守ってきた。初期の頃は相手をにらみすえる「ハブにらみ」が話題になり、25歳で将棋界初の七冠を達成して天才の名をほしいままに。そしてことし4月、最年少プロ棋士藤井聡太四段との対局で敗戦。「私の将棋観にはない攻めで負かされたので、新時代の感覚を身につけなければと思いました」とコメントしていた◆関連グッズが即完売するなど、将棋に関心のない人でもニュースでよくその名を目にする14歳の藤井四段。シャープで見るからに聡明そうな風貌の羽生九段とは違い、まだあどけないと言いたくなるような素朴な笑顔の持ち主だ。昨年12月のデビューから公式戦で負け知らず。15日の対局では26勝目を上げ、歴代連勝記録1位の28勝まであと2勝に迫っている◆一つの道に没頭し、存分に力を発揮する。それができるほど惚れ込める対象に出会ったことが、彼ら「天才」と呼ばれる人物達の何よりの幸福なのだろうと思える。「楽観はしない。ましてや悲観もしない。ひたすら平常心で」「追い詰められた場所にこそ、大きな飛躍がある」など多くの名言のある羽生九段。ただ一つの道を極めていく過程にこそ、豊かな発見はもたらされる。藤井四段も、これから道を行く過程で遭遇する彼ならではの幾多の発見を、見守る普通の人々に伝えてくれることだろう。     (里)

関連記事

フォトニュース

  1. 花と歴史の香りに誘われて

戦争体験者に聞く 終わらざる夏

  1. 写真=広島県江田島の海軍兵学校へ入校した俊一さん スマートな海軍に憧れて 日高地方の基幹病院であ…
  2. 写真=軍服の左胸につけていた歩兵第61連隊の徽章 連隊の自信と誇りを胸に 「最近、こんな物を手に…
  3. 写真=海軍の軍服に身を包んだ若き日の吉野さん 潜水艦搭乗で胸を病み夭折 今年の連載第1回(8月5…
  4. 写真=保養所で療養していた当時の坂本さん(後列右から5人目) 戦死した兄の敵を討つ みなべ町埴田…
  5. 写真=国民学校時代の体験を話す木下さん 子どもたちの生活にも暗い影 1931年(昭和6)の満州事…

Twitter

書籍レビュー

  1. 写真=よい睡眠について語る木村さん  ヤクルト御坊センター主催の健康教室が、美浜町吉原の新浜集…
  2.  還暦を過ぎても精力的に新作を発表し続ける東野圭吾。木村拓哉と長澤まさみ主演で映画化もされた人気シリ…
  3.  1945年8月15日正午、天皇陛下がラジオで国民に向けて終戦の詔書を読み上げ、国民はこのいわゆる玉…
  4.  テレビで見ない日はないぐらい、ニュースを視聴者に分かりやすく解説してくれるジャーナリスト池上彰氏。…
  5.  元アニメーターで江戸川乱歩賞作家、真保裕一の「行こう!」シリーズ最新作。今年5月に文庫化されました…
ページ上部へ戻る