ミスを怒らせないプロ

 やわらかな応対が高齢者や妊婦に好評で、全国的に女性のタクシードライバーが増えているという。他人の運転手と客が初めて顔を合わせる密室。互いの対応、態度によっては大きなストレスを感じ、言い争いになったという話もよく耳にするが、たしかに運転手が女性であれば緊張も減るだろう。
 家庭でも職場でも旅先でも、人は常に人と接し、ルールを守って互いに気を使いながら生活している。楽しいこともあれば、いやな気分になることもあり、ときには激しく対立してつかみ合いになってしまうことさえある。
 友人は、仕事においてはいわゆる「きっちりしい」の性格で、初対面の相手が名刺を返さず名乗ってもくれないと、「ん?」となる。時間を守るのはもちろん、とくに言葉遣いや対応についてはおかしいことが許せず、積み重なると相手がどんな偉いさんであろうと強く抗議に出てしまう。
 そんな木村祐一のような「許せない」彼が先日、なじみの店で客としてサービスを受けた際、明らかな店側の落ち度で被害を被った。イントロ部分でこれはなかなかのブチギレ話に違いないと思いきや、意外にも怒りはなく、むしろ楽しそうだった。
 理由は、その店は普段から店員さんがすごく気持ちよく、全員がいつも笑顔でサービスしてくれているから。話を聞く限り、客としてキレてもおかしくないし、それを指摘しない訳にもいかないミスだが、逆にどう切り出そうか、相手の体面を慮った自分に少し驚いたという。
 一見、気難しいきっちりしいは、普段からきっちりしている人には、少々のミスがあっても怒らないという話。あたりまえだが、こうした現場で働く人の振り、プロの対応を見て、別のプロが生まれる。   (静)

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