県の由良港防波堤整備事業が起工

 県の由良港防波堤整備事業の起工式が27日に由良中学校体育館などで行われ、県、由良・日高町、国土交通省、地元区、漁協の関係者ら約300人が出席した。「津波から『逃げ切る』支援対策プログラム」の一環で、67億円を投入して防波堤を整備する一大事業。完成は当初、平成38年度を予定していたが、仁坂吉伸知事は式辞の中で36年度に前倒しすることを約束した。
 式典は県、由良町、日高町が共催。仁坂知事は「多くの方々のバックアップを受けて事業ができることに感謝したい。地震、津波で大事な県民の命を1人たりとも失わないよう取り組んでいる。地震はいつ起こるか分からないので、由良港の防波堤整備は、36年度の完成でやっていきたい」と述べた。完成時期については、県の「津波から…プログラム」の完了が36年度となっていることから、地元町などが由良港の防波堤整備もこの時期までに終わらせるよう、38年度からの前倒しを要望していた。
 畑中雅央由良町長は「新しい防波堤が完成すれば、浸水区域が縮小し、被害が軽減される。東南海・南海地震が迫るなか、一日も早い完成を願う。これを契機に防災意識の向上も図りたい」と決意を新たにした。このあと、来賓の国土交通省幹部が祝辞を述べ、地元国会議員秘書、県議、町議らが紹介された。防波堤の基礎に使う「礎石」の除幕とくす玉開披もあった。
 礎石には由良小学校6年の片山花さんが「安全」、由良中学校2年の池田李玖君が「礎」、志賀小学校4年の鈴木唯〓さんが「防災」の文字を書いており、3人が仁坂知事や来賓らとともに綱を引いて礎石が現れると、来場者から大きな拍手が送られた。松本秀司日高町長の発声で万歳三唱し閉式。会場を由良中グラウンドに移して、8俵分のもちまきもあり、盛大に起工を祝うとともに、工事中の安全を願った。
 防波堤整備事業は、由良町などが22年度、県に対して要望。県は、24年度に事業化して、現地測量と調査ボーリングを実施。25年度は基本設計を行った。その後、地元区や漁協組合、企業などに説明を行い、昨年12月までに同意。事業化から5年を経て、ようやく着工できることになった。
 計画によると、神谷側から延長350㍍、高さ6・5㍍、柏側から延長100㍍、高さ5・5㍍の防波堤を整備する。2カ所の防波堤の間は、約450㍍の距離を開けており、大型船舶などの航路として安全性を確保。東海・東南海・南海の3連動地震が発生した場合、防波堤が整備されたことによって周辺地域の津波浸水深が1㍍低減し、3㍍以上の浸水エリアが約22㌶から6㌶に縮小されると予想。荒天時の漁船などの避難港としても一層利用しやすくなると期待される。総事業費は当初50億円の見込みだったが、精査する中で67億円となった。

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