テロを起こさせないために

 大好きな歌手のコンサート。ファンにとって、2時間ほどのステージはどれほど幸せに満ちたひとときか。いつも聴いている歌声が生で届き、いま自分が同じ空間にいる興奮は、ある種の麻薬のような幸福感をもたらす。
 その至福に包まれた空間が一瞬にして地獄と化した。イギリスで行われたアリアナ・グランデのコンサート終了後、ステージの余韻にひたるファンでごった返すロビーで自爆テロが起き、22人が犠牲となった。
 日本よりはるかにテロの脅威が差し迫り、国民も日常、人が多く集まる場所では恐怖を肌身に感じていたであろう。当然、警備レベルは高かったが、爆破が起きたのは会場から駅へ通じる公共スペースで、警備の手が緩む終演直後の混雑時を狙って被害をより大きくしようとしたものとみられている。
 その2日後、今度はインドネシアのジャカルタで自爆テロが起き、警察官3人が死亡した。現場はバスターミナルで、イスラム教のラマダン(断食月)の始まりを祝う行列を警備していた警察官が狙われたらしい。
 イタリアで始まったサミットは、あらためてテロ対策の連携強化を確認する機会となり、安倍首相は「いかなるテロも、われわれの結束を挫くことはできない」と、卑劣な暴力・破壊活動には屈しない姿勢を強調した。日本も東京五輪を控え、ただ怯え、祈っているだけでは助からない。テロリストは常に警備の弱い場所(国)を狙う。
 あすからテロ等準備罪を新設する組織犯罪処罰法改正案の参院審議が始まる。法の目的は国民を監視するためではなく、武器をとって欧米とともに戦うためでもない。万全の警備・捜査でテロを起こさせないために、国家間の情報共有の環境づくりである。  (静)

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