ボロボロの守りで存在感
- 2017/5/19
- 日高春秋
こんなことになるとは、どれほどの人が予想しただろうか。わが栄光の阪神タイガースは17日も勝って貯金を12とし、昨年の王者広島を抑えて首位をがっちりとキープ。尼崎の商店街ではないが、最速で6月2日にマジックが点灯、8月1日には優勝が決まる勢いだという。
投手陣はメッセ、藤浪、能見、岩貞、秋山の先発5人がまずまず期待通り。今季はなにより中継ぎが素晴らしく、10年目の苦労人桑原が力投すれば、負けじと高橋も気迫をみせ、岩崎、マテオが抜群の安定感でピンチを切り抜け、最後はひじを手術して球威が増したドリスがピシャリ。
打線は糸井の加入が大きい。相手バッテリーへの威圧感は元巨人の松井ばりで、打席に立つだけで投手は制球を乱し、相手に投げさせる「打てる球」を一発で仕留める。福留、鳥谷も触発されたか。その2人に挟まる中谷もようやく長距離砲の片りんを見せ始めた。
一方、内野の守備のミスが目立つ。三塁に移った鳥谷の動きはぎこちなく、上本と北條の二遊間も明らかに他チームに劣り、チームの失策は33個で、2番目の広島より試合数が少ないのに10個も多い。そんななか、プロ12年目の大和が存在感を発揮している。
昨年途中から両打ちとなり、今季は左の打席もまったく違和感がない。まだ登録名が前田だったころ、安芸で平田コーチの居残りノックを受けていた当時は「とりあえずしっかりメシ食えよ」という感じだったが、いまではグラウンドにいるだけでスタンドとテレビの前のファンを安心させる。
まさかの快進撃も、守りがしっかりすればさらに加速する。「広島の菊池より上」といわれる守備だけでなく、打って走って大和が躍動すれば本物のマジックが点灯するだろう。 (静)