平成29年春の褒章受章者が決まり、日高地方からは唯一、平成7年から22年にわたって保護司を務めている塩路正さん(76)=御坊市湯川町富安=が更生保護功績で藍綬褒章に選ばれた。県内では業務精励や社会福祉功績などで塩路さんを含めて藍綬5人、黄綬も5人が受章した。塩路さんの伝達、拝謁は5月16日に東京で行われる。
富安の萬福寺住職の傍ら昭和38年から平成13年まで38年間、高校の歴史・地理教諭を務め、うち30年間を日高高校で勤務した。住職と教諭という二足のわらじに加え、平成7年秋からは日高保護司会の一員として、さらに浄土宗の保護司会和歌山教区の会長を務めながら犯罪や非行をした人と定期的に面接するなどよき相談相手になって精力的に活動している。22年間で少年から年配者まで20人の更生に携わった。
保護観察は月2回の面接があり、多いときは3人同時に受け持ったことも。どれだけ忙しくても「とにかく仕事に就かせること」のモットーを忘れず、ハローワークで就労のアドバイスをしたり、事業所を訪ねて雇用主に直接お願いするなど親身になって取り組んだ。「1対1で話をすると、とくに若い子は本当に素直な子が多かった」と振り返り、「仕事を続けている姿を見たときはすごくうれしい」とやりがいを感じている。「保護観察が終わっても家を訪ねて来てくれる子もたくさんいます。社員旅行の土産を持ってきてくれたり、2年前に妻(敏子さん、享年68)が亡くなったときもお参りに来てくれた子がいて、感激しました」と立派に成長している姿を見るのが何よりの原動力となっている。
歴史や文化に造詣が深く、保護司以外に御坊市文化財保護審議会委員、御坊市の語り部、はまぼう学園の講師としても活躍している。受章に「思ってもみなかったことで、多くの皆さんのおかげと感謝しています。ことし秋には定年で保護司を退きますが、その後も少年たちの力になっていきたい」と話している。