梅システムを住民総ぐるみで活用

 「みなべ・田辺の梅システム」が平成27年12月に登録され、1年3カ月になる。養分に乏しく礫質で崩れやすい斜面を利用、薪炭林を維持しながら梅林を配置し、高品質な梅を約400年間にわたって生産してきた農業システム。登録後、地域振興につなげようと商品などに貼り付けるロゴマークを制作したり、各地でPRを展開したりしている。
 しかし、いまのところ梅の消費量増加や価格上昇というような効果はみられていない。理由の1つには世界農業遺産自体の知名度の低さだ。世界遺産の場合は、登録が決まるとテレビや新聞などのメディアが大々的に取り上げ、観光客が一気に増加したというようなケースが多い。3年前に認定された群馬県の富岡製糸工場もそうだった。これに対して世界農業遺産は制度内容すら知らない人が多く、受動的な待ちの姿勢では効果が得られにくい。みなべ・田辺地域だけでなく、国内で認定されている他の7地域についても地域おこしの特効薬とはなっていないようだ。
 身近で世界遺産となっている紀伊山地の霊場と参詣道がある。熊野などに観光客を招き入れている熊野ツーリズムビューローによると、同団体の利用人数は年々増加しているという。平成23年度は451人だったが、27年度は5624人と10倍以上に増えた。ブームを過ぎたあとは尻すぼみになるというのが通常だが、日々の営業努力の成果といえるだろう。
 地域おこしは一時的な話題性だけでできるものではない。やはり継続した努力が必要ということ。みなべ・田辺の梅システムに関しても行政だけにすべてを任せるのではなく、住民自身が関心を持ち、各分野が連携した総ぐるみの取り組みが大切だ。  (雄)

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