謎だらけの暗殺事件

 「私の罪は決して償えるものではない。こんな自分が生きていていいのか…」。殺人などを犯した人間が自分の罪と向き合い、真の反省に到達したときに口にするという。昭和62年11月の大韓航空機爆破テロの実行犯、金賢姫元死刑囚も同じ言葉を口にした。
 北朝鮮元工作員の金元死刑囚は、男の工作員と日本人の親子になりすまし、機内に時限式爆弾を持ち込んだ。男は身柄を拘束される際、持っていた毒薬を飲んで自殺。金元死刑囚もその場で毒を飲んだが、警官が飛びかかって吐き出させ、一命をとりとめた。
 北朝鮮で李恩恵という女性から日本語を学び、日本人になりきるために、日本の文化や日本人に見える化粧、山口百恵の歌まで教わっていた。李恩恵は日本人の拉致被害者で、本名は田口八重子といい、日本には1歳のときに生き別れとなった長男がいる。
 金元死刑囚は死刑確定ののちに特赦で無罪となり、いまから7年前には当時の政権の招きで来日し、田口さんの長男と対面した。「あなたを抱いてもいいですか。八重子さんは生きています。希望を捨てないで」と、涙を流した姿が日本人に感動を与えた。
 航空機爆破テロは祖国の統一、革命のためと教え込まれ、オリンピックの韓国単独開催阻止と参加ボイコットが目的だったという。あの事件から30年がたとうとするいま、北朝鮮の工作員によるとみられる暗殺事件が起きた。
 今回の事件の実行犯はどこまで洗脳されていたのか、真の反省に至るとは思えない。身内をも見せしめのように、次々と手にかける恐怖はどこまで効力が持続するのか。謎だらけの事件は、王朝崩壊を自ら引き寄せているような気もする。(静)

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