子どもたちの声に生かされる言葉

 ことしも御坊ライオンズクラブ主催、日高地方子ども暗唱大会を取材した。個人的に詩や文章表現、舞台表現が好きなので毎回全発表を鑑賞している。ことしもいろんな作品に出会えて心楽しく、有意義な一日だった
 中学生個人の部は出場者は少なかったが充実しており、優秀賞は「福島に生きる 福島を生きる」と題する詩。発表者はひたむきな表情と、心をそのまま乗せているような両手の動きで深い内容をまっすぐに表現。「私には私たちの道がある 自分の言葉がある ありのままがある」などの言葉が強く響き、感動を呼んだ。奨励賞は「枕草子第一段」。この大会では定番のテーマだが、はっとするような斬新な表現が千年前の随筆から新たな表情を引き出してくれた。一つ一つの言葉が持つ意味と情緒を、抑揚ある声、表情の変化、思いがけない手の動きで生き生きと表し、この題材でよくこんなに新鮮な感動をくれるものだ、とそのことに感動した
 作家の氷室冴子はエッセイで「子どもの頃、自分にとっては本は声を出して読むのが当たり前で、普通はみんな黙って目で読むと知って驚いた」と書いていた。多くの本を早く読んでしまおうとすると、目でたどる速度も速くなり、内容さえ把握できればいいと一言一言の意味をじっくり考えないまま読み飛ばしてしまうことも多々ある。声に出して表現すると言葉や文字を飛ばすことがない。適正な時間をかけ、内容をしっかり胸に納められる。暗唱を聞いて、自分の読書の姿勢を反省した
 元気な小学生の声、力強い中学生の声で表現される詩や絵本の一節等に耳を傾けていると、書き手の意志がその大きな声に乗ってはばたき、空間いっぱいに広がって生かされているようだった。   (里)

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