こんな時代だからこそ

 クリスマスにケーキを買い、大みそかに除夜の鐘を撞き、正月には神社へ初詣に出かける。そんな日本人の家には仏壇と神棚が同居し、いわゆる「無宗教」といわれる一見お気楽な宗教観、生活スタイルに外国の人は驚かされるという。
 古事記によると、日本という国は高天原(タカマガハラ)に生まれた伊耶那岐命(イザナギノミコト)と伊耶那美命(イザナミノミコト)の交わりによって生み出され、伊耶那岐命が黄泉の穢れを落とした際に天照大神(アマテラスオオミカミ)が生まれた。
 天照大神の孫が天孫降臨で高千穂峰へ天降った邇邇芸命(ニニギノミコト)で、この邇邇芸命のひ孫が初代神武天皇。神武天皇が即位してから今年で2677年、2年後には皇太子さまが126代の新天皇に即位することが検討されている。
 この神話と天皇のつながりから日本は神の国だというつもりはないが、宮参りや七五三など一般的な日本人の文化、風習をみても、山や川の自然に八百万の神の存在を敬う心根、一方で仏に手を合わせ、墓参りをする寛容、無意識の日常こそが立派な宗教観ではないか。
 21日には遠藤周作原作の映画「沈黙」が公開される。監督は「タクシードライバー」などで知られるニューヨーク派の巨匠、マーティン・スコセッシ。キリシタン弾圧下の江戸初期の長崎を舞台に、人間の強さと弱さを描き、「神の沈黙」という永遠のテーマに迫る。
 強い国が弱い国の富を奪い、憎しみが暴力の連鎖を生み、弱者がかえりみられない時代にあって、スコセッシ監督は28年がかりの労作の公開に際し、「人間の『何かを信じたい』という心について、真剣に考えることが大事。いまこそ世に問うべき作品となった」と話している。  (静)

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