間近に見たモネの白とゴッホの赤

 今月15日まで和歌山市の県立近代美術館で開かれていた特別展を、終了間際にようやく見に行くことができた。テーマは「動き出す絵画 モネ、ゴッホ、ピカソらと大正の若き洋画家たち」
 最大の目的は「光の画家」と呼ばれるモネ。今回展示の3点はそれほど明るい絵ではないが、「クルーズ川の岩場」の山間を流れる川の水面には、間近でみると点描のように純白の絵具が使われているのがわかった。それを確認してから離れて見ると、陽光を反射する川面が生き生きときらめいて流れるようだった。学校の勉強は嫌いだが外で描くのが好きで、画家を志してからも仲間を誘っては森で描いていたモネ。自然の光を愛した彼の生命の一部が、肉筆の絵には宿っているように思えた
 何より行ってよかったと思ったのは、ゴッホの「雪原で薪を集める人びと」。見た瞬間ハッと驚いた。チラシにも使われていたが、印刷の絵とまったく違い、沈む夕陽が明るく光を放って見えたのだ。それは遠目にも鮮やかな印象だった。印刷では特に目に立つわけでもない穏やかな赤なのに、会場では蛍光オレンジ色といっていいほど明るく見える。近寄って太陽に注目すると、朱色に近い色の絵具がやや盛り上がっていた。ゴッホは凄い画家だとは思っていたが、好きな画家というわけではなかった。しかし太陽をしっかりと描く力強いゴッホの筆遣いを想像すると、親しみが感じられる気がした。会場を訪れたからこその経験であった
 このような規模の特別展が開けること自体、これまでの展示実績に高い信頼性がある証。こんな素晴らしい施設を活用しないのはもったいない。休日などふと思い立って美術館へ出かける、という行動がもっと身近なものになればいいのだが。(里)

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