日本語の美しさを見直そう

 ことしのユーキャン新語・流行語大賞は、広島カープの緒方孝市監督が2試合連続で決勝弾を放った鈴木誠也外野手を称える談話で口にした「神ってる」に決まった。「神懸かってる」を今時の言葉に変えたものらしい。
 3年前の大賞は、確か「おもてなし」だった。フリーアナウンサーの滝川クリステルがオリンピック招致活動の最終プレゼンで日本社会に根付く歓待の精神を日本語で紹介したのが支持された。「おもてなし」はそもそも新語でも造語でもない。「もてなし」に丁寧語の「お」をつけただけである。あの時、あの場で滝川クリステルという人気アナが「お・も・て・な・し」とPRしたからこそ選ばれたのである。
 この「おもてなし」のように、日本語は世界有数の「豊かな表現力」を持つ言語の一つといわれる。「美しい『日本語』の言いまわし」(日本の『言葉』倶楽部著)にはこれからも残したい、実際に使ってみたいと思える美しい日本語がたくさん載っている。例えば「花心」や「希(こいねが)う」。花心は咲いてすぐ散る花のうつろいやすさに浮気心を例えている。希うは心の底から強く望む願いを表しており、何となく魅力のある言葉と感じる。他に中国由来の美人の比喩につかわれる「解語の花」、朝露を意味する「月の雫」。日本語の言い回しは本当に美しく心に残る。
 新語・流行語本来の意味に合致しているのは、「神ってる」のようなその時限りの言葉かもしれないが、時を超えて人の心に残る普遍的な日本語の美しさをあらためて見直し、日常の中で使われるようになれば、暮らしにもっとうるおいが出てくるのではないか。言葉を通じてその年の世相をみる新語・流行語大賞に、そんなことを思った。  (高)

関連記事

フォトニュース

  1. コロナに負けるな!

戦争体験者に聞く 終わらざる夏

  1. 乳飲み子抱え上海から引き揚げ 御坊市島に暮らす98歳の嘉美(よしみ)さんは、1921年(大正1…
  2. 34年前、活字にならなかった一冊の本 活字の本として出版されることのなかった、一冊の戦争体験集…
  3. 船団護衛の海防艦で南方へ 1923年(大正12)8月19日、夏目英一さん(95)は日高郡旧野口…
  4. 千人針と250人分の寄せ書き発見 「あれ、これは何やろ」 1999年(平成11)8月、母の薫(か…
  5. 飛行兵志願も母が反対 小瀬輔造さん(89)は1930年(昭和5)1月7日、日高川町…

日高地方などのイベント情報

現在予定されているイベントはありません。

Twitter

書籍レビュー

  1.  「バイバイ、ブラックバード」を読むと、原典に当たる太宰治の「グッド・バイ」が読みたくなったので、文…
  2.  作者の生まれは明治18年。明治45年に執筆され、初版は大正10年とかなり古いですが、繊細な描写が特…
  3.  6月19日は桜桃忌。芥川龍之介の河童忌、司馬遼太郎の菜の花忌ほど有名ではありませんが、太宰治の命日…
  4.  銀行に7年間勤務した経験を持ち、「半沢直樹」「陸王」「ルーズヴェルト・ゲーム」など人気ドラマの原作…
  5.  幅が狭く、カーブが続き、前から車がくればすれ違うこともできず、一つ間違えば谷底に転落してしまう…。…
ページ上部へ戻る