思い込みの恐ろしさ

 先日、取材担当の美浜町で車を走らせていると、県道の歩道を歩いている人が知り合いのように感じた。この知人は印南町の人だから、こんなところにいるわけがない。まして歩いてうろうろするわけがない。でも、本当によく似た人がいるもんだなとすれ違いざまに思った。その人が知人ならば連絡を取らなければならない用があったが、「まさか、こんなところで…」という意識が強く、何もせずに通り過ぎた。後日、連絡した際、少し気になっていたのでその話をすると、その場にいたのは本人だった。「なんでそこ歩いてたんですか」と理由を聞くと、「なるほど」と納得の答えが返ってきた。
 歩道を歩いていた人が誰かはどうでもいい話だが、この時、思ったのが「思い込み」「決めつけ」というものの恐ろしさ。頭の中が「こんなところで出会うわけがない」に染まってしまえば、実際に見えていることでも見えなくなってしまうのだ。印南町で出会っていれば絶対に気づき、美浜町でも車ですれ違っていた場合なら分かったはず。「美浜町」「歩き」という、ありえないと思い込んでしまうシチュエーションの重なりが知人を「他人」にしてしまった。
 アメリカの大統領選。日米マスコミの多くは「暴言王」の当選を読み違えた。「あんな人が大統領になれば困る」「大統領になってほしくない」などの思い込み、決めつけが取材に影響しなかったか。十分な検証、それに反省も必要かもしれない。既存政治を打破したいという多くの声を報道に生かせなかったのは他国のことではあるが残念に思ってしまう。
 どうでもいい話も何かの役に立つ時がある。思い込みと決めつけには細心の注意がいるのは間違いない。(賀)

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