県立医科大 樹状細胞ワクチン治験実施へ

 県立医科大は7日、がん免疫療法で再生医療等製品の開発を進めるベンチャー企業、テラファーマ㈱(本店・東京都)との間で、すい臓がん治療薬の承認に向けた日本初の樹状細胞ワクチンを使った医師主導治験を行う契約を締結した。世界トップクラスのワクチン製造技術と症例実績を持つ企業と手を組み、他の大学病院などと連携して5年間をめどに3段階の治験を実施。平成34年3月の承認申請を目指す。
 樹状細胞ワクチンとは、患者のリンパ球のみを採取する成分採血により、がんを攻撃するT細胞(CTL)を活性化させる樹状細胞を体外で成熟化させ、その樹状細胞にがんの目印となるがん抗原(ペプチド)を取り込ませた細胞。これを注射でわきの下などの皮膚に投与することでCTLが活性化し、がん細胞のみを狙って効率的にがんを攻撃する。
 県立医科大は西日本の医療機関で最も多いすい臓がんの手術実績(昨年は108件)があり、免疫療法では人工のペプチドのみを投与するペプチドワクチンの治験を食道がんとすい臓がんを対象に行ってきた。その蓄積されたノウハウの上に今回、より長い生存期間の延長が期待できる樹状細胞ワクチンの高度な製造技術と、多くのがん種で計1万件以上の症例実績(自由診療)を持つテラファーマとの協働により、日本で初のすい臓がんに対する樹状細胞ワクチンの医師主導治験を行うことになった。
 治験は手術、抗がん剤、放射線の標準治療が効かない患者を対象に、県立医科大を中心に全国19の大学病院等と共同で、来年3月から5年間で185人に対して実施。創薬への最終ハードルとなる第Ⅲ相治験まで行い、有効性が確認されれば平成34年中に承認申請、35年からの保険治療につなげたいという。
 すい臓がんは60~70%の患者が発見された時点で高度に進行しており、手術後も大半が再発してしまうという最も治療が困難ながんの一種。この25年間で発生率、死亡率とも1・5倍に増加し、抗がん剤などの治療効果も大きく進歩していない。外科学第2講座の山上裕機教授は「すい臓がんはとくに新しい有効な治療法の開発が急務であり、私たちと民間企業、さらに政府、省庁も含めた産官学の連携によって、一日も早く樹状細胞ワクチンの標準治療薬を開発したい」と話している。

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