御坊市塩屋町出身で和医大附属病院消化器内科助教の森畠康策医師(42)の論文が、今月3日から6日まで神戸で開かれた第92回日本消化器内視鏡学会総会で学会賞を受賞した。胃がんになりやすい胃の状態を初めてデータで示した論文で、早期発見・治療につながると、期待と注目が集まっている。
塩屋町北塩屋で開院している森畠医院の森畠康夫院長の長男。塩屋小、河南中、日高高校、和医大を卒業後、同大附属病院消化器内科、東京の国立国際医療センター消化器レジデントを経て18年4月から和医大附属病院に復帰して10年目。内視鏡での胃と大腸の検査や手術を担当しており、火曜日は隔週で日高病院と北出病院の内視鏡センターで検査と治療を行っている。
論文は、これまでの経験から500以上の症例を基に、胃がんの原因のほとんどとされるヘリコバクターピロリ菌を除菌した後の胃の状態を観察した結果、「地図上発赤」と呼ばれる赤くまだら模様になる人はがんになる確率が高くなることをデータで示した。論文は英語で、全世界向けに発行されている内視鏡の専門誌に、競争率20%前後の狭き門を突破して掲載された。同学会からは「内視鏡学の進歩に寄与する優れた論文」と評価され、本年度学会賞10人の中の一人に選ばれた。
森畠医師は「症例をデータにしてコツコツと積み重ねた結果。まさか学会賞をもらえるとは思っていなかったので光栄です。この成果を日常の臨床にも生かしていきたい」とし、「ピロリ菌を除菌すれば胃がんにならないと思われがちですが、そうではありません。早期発見すれば完治が可能な病気ですので、内視鏡での定期的な検査をしてもらいたい、胃がんを根絶できるように頑張りたい」と力を込めている。