危険業務従事者叙勲 日高地方は2氏

 著しく危険性の高い業務において精励した人をたたえる第27回危険業務従事者叙勲の受章者が決まり、県内は元警察官、消防隊員ら28人が選ばれた。日高地方からは元県警警部の門完次さん(70)=日高川町佐井=が瑞宝双光章、元御坊市消防司令の垣内孝司さん(65)=御坊市野口=が瑞宝単光章を受章。11月中に各省庁や県庁で伝達、東京で拝謁が行われる。
 門さんはかつらぎ町出身。昭和39年10月1日に警察官になり、湯浅署、串本署、御坊署などで刑事課や交通課、地域課など平成18年4月に退職するまで42年間勤務した。
 湯浅署時代は、選果場に侵入した窃盗犯が逃走する事件が発生。パトカーで捜索中、河原で不審な車両を見つけ、駆け寄ったところ窃盗犯4人のうちの3人を発見。携帯電話や無線もなく1対3と不利な状況の中も、大声で相手を威嚇。窃盗犯はすくみあがり、パトカーの後部座席に2人、助手席に1人を乗せて連行した。
 また、古座警部派出所時代には国鉄古座駅で、駅員から「拳銃を持った男がいる」との通報を受け、駐在員と2人で急行。銃撃戦に発展し、2発の銃弾を撃たれるなど激しい抵抗にあったが、ひるむことなく立ち向かい、警棒で男の腕を殴って拳銃を落とし、取り押さえた。これらの功績が称えられ、6回の本部長賞、多数の署長賞を受賞した。
 平成5年からは中津駐在所に勤務。持ち前の明るさと情の厚さで地域に溶け込み、「駐在さん」として親しまれ、自身も人の温かさや自然環境が気に入り、13年から現在の佐井の自宅で生活するようになった。退職後は日高川交流センターの自主事業実行委員会の委員長を務めるなど、地域活動にも積極的に参加。42年間の警察人生を振り返り、「中津の方にはよくしてもらい、最高の警察官人生を送ることができた。地域の皆さまと一緒に受章したと思っています」と喜んでいる。
 垣内さんは「人のためになりたい」と、昭和45年3月1日に御坊市の消防士となり、平成24年3月31日の退職まで42年余りにわたって勤務。警防業務を中心に、多くの災害現場で被害の軽減を果たす活躍を見せた。
 消防士として駆け出しのころ、名田町から印南町にかけて3日間ほど燃える山林火災が発生。家に帰れないばかりか、寝る間もなく現場で活動したのを覚えている。「人命を最優先に、被害を最小限に抑える」が信条。平成21年4月に署長に就任して以降は、指揮隊長としても優れた統率力を発揮した。
 23年1月に市内で発生した木造2階建て住宅の火災では、火が強風にあおられて隣接する民家に延焼寸前のなか、状況を的確に判断して応援隊の出動要請と消防団の招集を命じるとともに、逃げ遅れた人がいないかの確認を指示。延焼防止を最重点とした体制を整えた上で、あらゆる状況を想定した火点包囲網を築き、隊員や団員の安全管理に配慮しながら、延焼を防いで被害を最小限に抑えた。
 「仕事ですが、『ありがとう』の言葉が何よりうれしかった」。受章に「先輩から後輩まで仲間たちに助けてもらい、家内(知子さん)ら家族の支えや関係者の協力があったおかげ。本当に人に恵まれていました。皆さまに感謝です」と笑顔を見せる。
 消防職員を志したころの「人のために」という思いは今も同じ。「これからも自分のできる範囲のことで地域のために役立ちたい」と話している。

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