由良沖に神秘の甌穴

 河川の岩場などで見られ、全国的には国の天然記念物にも指定されているものもある「甌穴(おうけつ)」が、由良町神谷沖の海底にあることが、県教育委員会文化遺産課などの調査で確認された。何千、何万年もの時をかけて水流の浸食によってできた円形の穴(ポットホール)で、神秘的な自然の造形美が特徴だが、海底で見つかること自体が珍しく、同課は「専門の学者の意見を聞きながら、さらに詳しく調査していきたい」と話している。
 甌穴は川底や川岸の表面が水流の浸食でくぼみとなり、さらにそのくぼみに入って流れで回転する小石などで削られ、丸みを帯びた円形の穴に拡大されて形成される。穴の直径や深さは数㌢から数㍍までとさまざま。全国的には愛媛県の「八釜の甌穴群(黒川)」や岐阜県の「飛水峡の甌穴群(飛騨川)」など7件が国の天然記念物に指定されている。
 由良町神谷沖では、先月17日に県が町教育委員会職員の協力を得て潜水調査。通称「下山鼻」と呼ばれる岬の南20㍍付近=地図参照、×印が甌穴=で発見された。水深2㍍の海底にあり、直径1㍍、深さ2㍍の大きな穴が口を開けている状態。付近にはほかにも人のお尻がすっぽり入る程度の大きさの甌穴がいくつか確認できた。同課では撮影した水中写真を県立自然博物館の学芸員に見てもらったところ、甌穴であるとのお墨付きを得た。
 今回の調査は、かつて父が素潜り名人だったという紀州熊野紀行団梛木愛好会の藤田薫代表=里在住=が依頼。自身も海に潜って数年前から大きな穴があることを知っており、「貴重な甌穴ではないか」と考えていた。今回の調査にも参加した藤田さんは、「以前、私が見つけたのは、もっと規模が大きかった。まるで人工の建造物のようでもあった」と話しており、今回発見できた甌穴だけでなく、付近一帯が「甌穴群」になっている可能性もある。
 県教育委員会文化遺産課は、「甌穴が天然記念物になるには、規模的な条件もある。今回発見された甌穴が天然記念物になるようなものなのかどうかは、今後調査しないと分からない。ただ、海底での発見はあまり前例がなく、かつてその場所が川底だったことを示す証かもしれない。また、台風の波で甌穴内部が削られるなど、いまも〝成長〟を続けている可能性もあり興味深い。専門の学者に話を聞きたい」として、引き続き調査していく。

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