天災の恐ろしさ忘れずに
- 2016/9/4
- 日高春秋
台風10号が東北や北海道を中心に各地で甚大な豪雨被害をもたらした。統計開始以来初めて東北地方の太平洋側に上陸。北海道への台風は8月中、上陸が3回、通過・接近が3回に上り、1年間の平均1・8回を大幅に上回る「過去に例のない事態」という。堤防の決壊や浸水の被害が相次ぎ、岩手県では高齢者グループホームでの9人を含めて10人以上が亡くなった。避難が遅れたり、避難勧告が出されなかったり、日に日に明るみになる施設や行政の不手際。過去に経験がないという油断は禁物である。
防災の日の1日、全国各地で防災訓練が行われた。平成23年3月の東日本大震災、ことし4月の熊本地震や相次ぐ豪雨災害で私たちの防災意識は高まっているように思う。この日は36都道府県で約99万8000人が各地の訓練に参加(予定段階の人員数)。日高地方でも、近い将来発生が予想されている大地震や津波に備えようと、印南町が抜き打ちの参集訓練を実施した。職員が初動期の対応を確認し、地域防災計画のマニュアルが実態に即しているかを検証。日裏勝己町長は「『想定外』がないように」と力を込めた。
「天災は忘れたころにやってくる」。天災は、その恐ろしさを忘れたころに、また起こるものであるから用心を怠らず、油断は禁物という戒めの意味で使われる。沖縄の南方沖で台風12号が発生。気象庁の予報では発達しながら北上し、暴風域を伴いながら九州方面へ接近する見込み。西日本では週末にかけて天候が荒れる恐れがある。紀伊半島豪雨災害から5年。過去の教訓に加え、ありえない事態を想定することが防災には必要だと思う。あらためて地域の防災意識を高め、災害対策を見つめ直す契機になれば。 (笑)