地域で子どもを守る
- 2016/9/1
- 日高春秋
少年の凶悪犯罪が後を絶たない。昨年2月、神奈川県川崎市で中学1年生の少年が年上の少年グループからナイフで首などを切られるという暴行を受けて死亡するという事件があった。この事件から約1年半、また同じように凶悪な事件が発生した。今月22日には埼玉県東松山市で同県吉見町の少年(16)が他の14歳から17歳の少年5人から暴行を受けて殺害された。未然に防ぐことができなかったのかという思いがある
少年犯罪の動機は短絡的だ。報道によると、今回の事件では、リーダー格の少年が「うそをついたり、メールや電話を無視したりしたので殺した」と供述しているという。それだけのことで人の命を奪うことができるのか、考え込んでしまう。おそらく、現代社会が少しのことでキレてしまう子どもを生んでしまってはいないかと思う
先日、JR南部駅前で青少年センターの職員らがマナーアップ啓発活動を展開し、電車から降りてくる高校生ら1人ずつに「おはよう」と声をかけた。中には素通りする子どももいたが、頭を下げたりあいさつを返してきたりする子どももみられた。こうした活動は地道で目立たない。しかし、うまく説明することができないが、子どもたちの孤独感を拭い去り安心感を与えることはできるのではないかと思う。それが少年犯罪を未然に防ぐことにもつながるだろう
昔と違っていまは、人とのつながりが希薄になっている。家庭に目を向けると、以前は祖父母らと同居の大家族が一般的だったが、最近では核家族化が進んでいる。場合によっては両親共働きで、子どもも含めた会話が少なくなりがち。よく耳にする「地域で子どもを見守る」ということが、いまの時代には一層重要視されている。(雄)