「もったいない」が食育の原点
- 2016/8/31
- 日高春秋
まだ食べられるのに食べ物が捨てられてしまう「食品ロス」。以前も紹介したことがあるが、政府の統計では食品ロスは年間最大800万㌧ともいわれており、日本人1人当たりでは毎日おにぎりを1~2個捨てている計算。これは日本の米の年間収穫量約860万㌧に匹敵する数字で、世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食料援助量の年間約390万㌧を大きく上回っている。単純計算だと、食品ロスをなくしてその分を配分すれば世界の貧困を少しでもなくすことができる。ミスマッチはどんな分野でもあり、そううまくいくものではないが、日本人の「もったいない」の精神がこれほど崩れているのは危惧しなければならない。
このミスマッチを改善しようと、消費期限が近づき、このままでは廃棄しなければならなくなる食品を寄贈してもらい、福祉施設や食に困っている人に提供する「フードバンク」という運動が広がりつつある。筆者はつい最近まで知らなかったが、日本では平成14年からNPOセカンドハーベスト・ジャパンが本格的に活動し、全国で展開されている。子どもの貧困が社会問題となる中、食の充実で心身の健康にもつながると注目度は年々高まっている。
きょう8月31日は、語呂合わせで「やさいの日」だ。家庭での食べ残しは野菜が多いといわれている。せっかく制定されている記念日をきっかけに、家族や身近な人と「もったいない」について考えてみては。とくに子どもたちに関心を持たせてほしい。栄養バランスのよい食事、旬の食材、地産地消などももちろん大事だが、出されたものを食べ残さない。これが食育の原点であることをあらためて認識したい。