戦争体験者の取材で思う

 先日、慶弔の死亡欄に見たことがある名前があった。毎年8月に本紙で連載している戦争体験者の声を聞く「終わらざる夏」で、取材させてもらった人だった。筆者が連載に加わって4年。これまで10人の人を取材してきたが、うちすでに3人の方が亡くなった。生前に貴重な話を聞き本紙に掲載できたことはありがたかったが、戦争の悲惨さを知る方がまた1人亡くなったことを悲しく思う。
 ことしは終戦から71年。当時二十歳だった人はもう90歳を超える高齢になっている。そのため、近年は戦地へ行った人を探すのは難しく、幼少期に戦争を体験した人が中心になってきている。ことし筆者が取材した2人の方も、戦時中は小学生だった。1人はグラマンの機銃掃射や頭上を飛ぶB29におびえたり、食べるものがなく空腹に耐え続けた日々、戦中と終戦直後でまったく学校生活が変わったことなど。もう1人からは空襲で無数に降り注ぐ焼夷弾の雨から命からがら逃げた話などを聞いた。子ども時代の話ながら、戦争の恐ろしさは十分に伝わった。
 空襲を受けた戦争経験者の言葉が印象的だ。「戦争が始まった当時、誰が無数の焼夷弾の雨の中を逃げるような悲惨な光景を想像できただろうか」。いまでこそ「戦争は悲惨」との認識だが、当時の日本人は誰もが勝利を信じ、ある意味で楽観視していたのだろう。現代の日本人も「まさか戦争なんて」と再び楽観視しているのかもしれない。
 今後も戦争経験者の高齢化は進み、貴重な話を聞ける人も少なくなる。話を聞ける人がいなくなっても、経験者が訴える戦争の悲惨さと平和への思いはなくしてはいけない。微力ながら紙面を通じて貴重な声を残していきたい。(城)

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