リオの危険さ報じる前に

 リオオリンピックが開幕した。日本のメディアも現地に乗り込み、この1週間ほどは、警官が銃を手にパトロールしている様子など、いかにまちの治安が悪いかを盛んにアピール。渋滞でノロノロ運転の車に歩いて近づく路上強盗の映像は、この数日で何度見たことか。
 訪日外国人観光客が年々増加し、和歌山県内を訪れる中国や台湾、香港などからの観光客も過去最多を記録した。円安、航空便の増加、ビザの緩和などいろんな要因が考えられるが、人気の理由はなんといっても「快適さ」ではないか。
 都会の観光地、テーマパーク、家電量販店、飲食店は外国人であふれ返り、マナーの悪さを指摘される中国人も、最近は少しお行儀がよくなってきているという。初めて訪れて日本人の礼儀正しさ、思いやりに感動し、リピーターになってみれば、やけに騒がしい初めて来た同胞が疎ましい自分に気づくはず。
 中国人に限らずどの国の人も、外国に出てみないことには自分の国のいいところ、悪いところが見えない。これは日本人同士であっても同じで、日々、同じエリア内で同じ人としか会わない風通しの悪い生活を送っていると、自分の感覚のズレにも気づかない。新しいまち、新しい仕事、新しい仲間との出会いにより、人は成長が促される。
 治安、文化、人権、教育、食べ物…どれをとっても日本はすばらしい。しかし、そのすばらしさを最も知るのは日本人ではなく、残念ながら日本人は最も知らない。
 外国の危険さを報道する前に、日本が世界の中でも極めて稀な安全な国であり、善意が通じ、公衆衛生が整い、社会保障が充実していることを教え、国民はその平和さゆえに国を守る危機感が薄れていることに気づかねばならない。 (静)

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