イクメン推奨が必要な時代
- 2016/7/31
- 日高春秋
イクメンという言葉が浸透してもう5、6年は経つだろうか。育児に積極的に参加するメンズ、と説明しなくても多くの人が理解するほど受け入れられている言葉だ。子どもの成長を楽しみにしていない親などまずいない。父親として子育てにかかわりたい、子育ての大変さを分かち合いたい、そう思っている男性諸君も多いと思うし、だからこそイクメンという言葉が受け入れられたともいえるだろう。しかし、現実はそう簡単ではないようだ。
厚生労働省がまとめた2015年育児休業の取得率は女性が81・5%に対して、男性はわずか2・65%。前年から0・35㌽上昇し、3年連続で上がったといっても、あまりにも少ない数字である。国が目標にしている2020年に13%にも程遠いのが現状だ。これではイクメンという言葉の値打ちも下がる。記憶の新しいところでは、育休宣言しながら不倫していた元国会議員によるイメージ低下などもあり、あまり取り上げられなくなったようにも思う。しかし、イクメンの存在価値は年々高まっていることも忘れてはならない。
証明する一つのデータがある。独立行政法人労働政策研究・研修機構がまとめた専業主婦世帯と共働き世帯の推移をみると、データが残る1980年は専業1114万世帯、共働き614万世帯だったが、2014年には専業720万世帯、共働き1077万世帯とまるっきり逆転している。景気の悪さの表れでもあり、女性が働かなければ生活できないという世帯が多いのが現実。だからこそ男性の育児は重要なのだ。貴重な戦力に休まれては困るという企業の言い分も分かるが、時代に応じた柔軟な対応こそ、いま求められていることではないか。(片)