小説に書かれたトルコとの縁

 トルコでのクーデター未遂のニュースを連日見て、昨年の映画「海難1890」や秋月達郎氏の小説「海の翼 エルトゥールル号の奇蹟」を思い出した
映画では、明治のトルコ軍艦エルトゥールル号海難、昭和60年のトルコ機によるイランからの日本人脱出の2点に絞り、じっくり描いて感動を呼んだ。「海の翼」もそれが中心だが、その間の日露戦争のことも詳しい。山田寅次郎というユニークな日本人が登場する
寅次郎は海難の義援金を募って全国を2年間演説して回り、5000円(現在の1億円相当)を集めた。外務大臣から自身で届けるよう勧められ、一民間人の義挙に現地では熱烈歓迎。皇帝から「トルコに残り、士官学校で日本について教えてほしい」と依頼された。前任の日本人教員野田正太郎は軍人秋山真之からロシアの動向を見張るよう頼まれていたが病気になり、寅次郎に託す。寅次郎は教え子のトルコ人青年20人の協力も得て毎日ボスポラス海峡を見張り、ついに商船を装って通過する黒海艦隊3隻を確認。ただちに情報を日本へ送るべくオリエント急行へ身一つで乗り込み、一番近いウィーンの日本公使館へ。情報はすぐ連合艦隊司令部に届き、参謀・秋山が対戦場所は「対馬沖」と判断。日本海海戦に臨み、勝利した。ロシアの脅威に長年悩まされたトルコでは多くの国民が日本の快挙に感激したという。寅次郎は20年をトルコで暮らし、帰国後、遭難の地樫野への慰霊碑建立にも尽力した
両国の歴史には多くの人に知られている以上の深い関わりがあると学んだが、現在のトルコについてはあまりにも何も知らず、知らなければと思う。行動することには及ばないが、知ろうとする気持ちは、小さくてもつながりの種を生むと信じたい。(里)

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