芸術の世界に調和の美をみる

 絵画、写真、書、生け花、陶芸など各種作品展をよく取材させて頂く。芸術と一口にいってもずいぶん多彩なジャンルがある。先日は、押し花と樹脂粘土の作品展を取材した
 押し花では、花という自然の素材を使って、風景画や静物画のような一枚の作品に仕上げる。雄大な富士山の情景、夜を華やかに彩る月下美人の大輪、大きく羽を広げたチョウ、ウサギや小鳥など童画風の絵。毎回新たなモチーフや構図に出会い、目が引きつけられる。富士山の青い山肌は絵具で塗ってあるとばかり思ったら、パンジーやビオラの青紫色の花で描かれていた。大輪の月下美人が、薄くスライスしたダイコンで描かれていたことにも驚いた
 樹脂粘土の作品展では、会場に並ぶ色とりどりの花に思わず見とれた。粘土ときくと小学生の時に図工で使った油粘土を連想するが、樹脂粘土は白くて柔らかく、薄く伸ばして絵具で着色するという。繊細な細工が可能なようで、花瓶に生けられたススキの穂など本物にしか見えない。キノコの褐色の傘などもしっとりと湿気を含んで見える。愛らしいスズラン、ゴージャスなユリや牡丹、光沢のある赤い実をつけた盆栽、1点1点に存在感がある
 面白いことに、押し花は自然の花を使って絵という人工のものを完成させ、樹脂粘土作品は人工物を使って花という自然のものを再現している。正反対の作業のようだが、どちらも感性に従って手を働かせ、一つの「世界」を創るところは同じ
 現実の世界では幾つもの異なる意見がぶつかり合ってきしみ、不協和音を立てている。花びらや葉などのパーツが美しく配置されて生きる芸術品のように、物事があるべきところへ収まって調和し、正しく機能する世界はどのようなものだろうと思う。(里)

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