損して損とる売上至上

 三菱自動車の燃費データ不正問題。新車販売への影響は深刻で、一日当たりの受注は不正発覚前の半分まで落ち込んでいるという。スポーツカー開発でライバル社としのぎを削り、ブランドにこだわるファンも多く、それだけに自信と誇りを持って仕事をしてきた営業マンや工場のスタッフのショックたるや、察するに余りある。
 車を買おうという人にとって、燃費はデザインと並んで最も重要なポイント。最近は軽自動車もワゴン、SUVなどタイプが増え、室内の広さや見た目のかわいさに加え、カタログに掲載される小数点以下第2位までの燃費数値が大きな意味を持つ。
 ライバル車より100㍍でも高い燃費性能を…。売り上げ至上の経営が開発現場の燃費至上につながり、データ改ざんという不正に至った。ものづくり企業、エンジニアとして絶対に譲れない矜持を捨ててしまった結果、これまで会社を支えてきた社員とファンを裏切ることになった。
 iPS細胞で世界の再生医療をリードする山中教授は、現場の一研究者からチームのリーダーとなり、iPS以降は年々、大きくなる組織を率いながら、リーダーとしての在り方に苦悩が続いている。元研究者のトップとして、選手兼監督のような二足のわらじをどううまくこなすか。金目当ての海千山千が群がってくるなか、「病に苦しむ患者を救いたい」という医師の原点がいまも自分とチームを支えているという。
 現場で汗を流す人は顧客のため、ファンのため、患者のため、常に本分を忘れず向くべき方を向いて全力を挙げ、リーダーは決して目先の利益にとびつかず、長いものに巻きつかない。それが得をとり、ひいては徳を高めることにつながるのではないか。(静)

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