女性アーティスト、陰陽の系譜

 中高生の頃愛読していた少女漫画の巨匠・竹宮惠子が自伝的エッセイを出版、早速購読した。ライバル的存在だった萩尾望都への複雑な心情が率直に書かれていたことが興味深かった。「24年組」と呼ばれ漫画界に一時代を築いた2人だが、作風は陽と陰という感じで対照的である
清少納言と紫式部の昔から今に至るまで、2人の対照的な女性アーティストが双璧を成してそのジャンルを引っ張っていく現象が度々みられる。独断で分けると、才気あふれるエッセイ集「枕草子」の清少納言は陽、情感に満ちた長編恋愛小説「源氏物語」の紫式部は陰。近代文学では、貧しさに耐え愛の物語を綴った樋口一葉が陰、情熱的な短歌でセンセーションを巻き起こした与謝野晶子が陽だろうか
現代に移ると、音楽界では中島みゆき、松任谷由実の大御所2人がいる。曲調からして中島みゆきが陰、松任谷由実が陽。作家では、華やかに京都を描いたミステリーの山村美紗が陽、今月19日に他界されたが、じっくり読ませる社会派ミステリーの夏樹静子が陰か。表現者という意味でアイドル歌手も入れれば、古くは陽の松田聖子、陰の中森明菜。もっと古くは陰の山口百恵、陽の桜田淳子といっていいか
相反しつつ補い合うのが陰と陽で、人間にはどちらも必要である。どちらが人気を得るかは時代の空気によるが、才能が本物でさえあれば、後年には優劣などつけられず双璧として存在感を放つ
しかし今、第一線で時代を牽引する女性アーティスト達はと考えると、特に誰も思いつかない。文化的に谷間の時期にあるのだろうか。竹宮惠子の著書では、萩尾望都らと一つ屋根の下で暮らしたという少女漫画草創期のエネルギッシュな日々が生き生きと描写され、眩しく感じられる。(里)

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