土俵から目がはなせない

 荒れる春場所。先場所の日本出身力士10年ぶりの琴奨菊の優勝で他の日本人力士も刺激を受けたか、大関稀勢の里、前頭筆頭琴勇輝、地元大阪の勢らの力強さが目立つ。また、結果は出ないものの、関脇豊ノ島、嘉風の連日の健闘も光り、前へ、前へ、先々場所とは明らかにムードが変わってきた。
 今場所、際立った安定感をみせているのが初優勝に期待がかかる稀勢の里。どっしり構えてまわしをつかみ、勝機とみても先場所までのように慌てて出ない。じわりじわりと相手を追い込み、最後まですきを与えず寄り切る相撲は、横綱以上の貫録を感じるが、上位陣とのここからが勝負となる。
 一方、ご当地の大関豪栄道は10日目まで9勝1敗と好調ながら、カド番脱出に王手をかけた8日目の栃ノ心戦で変化をみせ、満員の館内の大ブーイングを浴びた。年6場所のうち大阪は1回、入手困難な高額チケットを買って見に来たファンも、そんなせこい相撲を見せられては気分も悪かろう。屈辱のため息と罵声に発奮、意地をみせてもらいたい。
 もっと情けないのは横綱白鵬。朝青龍ばりの過剰なダメ押しはもはやスタイルとなり、8日目に嘉風を血祭りに上げた一番は、あまりのえぐい相撲に館内が静まり返った。3発の左張り手と右のかち上げで嘉風の体が裏返り、最後は足を抱え込んで土俵下に投げ捨てた。148㌔の嘉風が直撃した井筒審判長はそのまま動けず、救急車で病院送りとなった。
 御坊出身の三段目栃乃島は残念ながら負け越したが、幕下では関学出身の「居反り」の宇良が勝ち越しを決め、来場所での十両昇進が見えてきた。これに遠藤も故障から完全復帰すれば、若貴以来のブーム再来も遠くない。残り5番、土俵から目がはなせない。(静)

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