「言霊の幸はふ国」の少年少女

 御坊ライオンズクラブ主催の「日高地方子ども暗唱大会」を取材した。今回で5年目。詩や物語が好きなので、最初から最後まで全部鑑賞することにしている
個人的にも収穫の多い取材である。昔読んだ「二十四の瞳」も、あらためて作品の持つ強い力を認識させてもらった。「地引き網」は、西條八十にこんな素朴で力強い詩があったことを知らなかったので勉強になった。「鎌倉の祈り~『方丈記』の不思議より~」は、生徒らが南方熊楠記念館を訪ねたことから生まれた作品。防災への視点を「方丈記」とからめたオリジナルの構成が印象的だった。同じ学校のもう一つの出場作品は、熊野古道を軸に独自の構成で和歌山県を語った意欲作だったが、惜しむらくは、発表する生徒たちのパワーがみなぎる余り肝心の言葉が聞き取れないところがあった。内容がもっと聴く人に伝われば、高く評価されたのではと思う
「言霊(ことだま)」という表現はよく聞かれる。原典は万葉歌人山上憶良が遣唐使となった知人に宛てた手紙の一節、「大和の国は言霊の幸はふ国」。言葉の持つ不思議な力でよい方向に導かれていく国、ということだろうか
言葉は幾重にも意味を持ち、いろんな側面がある。よい影響を及ぼすように念じて言葉を使うことで、本当によいめぐり合わせを呼びこんでいくことが可能かもしれない。ことしは申年だが、「見ざる、聞かざる、言わざる」の三猿には「子ども達には悪いことを見せない、悪いことを聞かせない、悪いことを言わせない」という意味があるという。よいものに数多く接することは、子ども達の心の栄養になる
多くの先人が残してくれたよき「言霊」に触れることが、少年達少女達それぞれのよき未来を開く力となればいいと思う。(里)

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