小さな親切心が友好の源
- 2016/1/19
- 日高春秋
日本とトルコの友好125周年を記念して昨年12月から上映されている映画「海難1890」が好評という。1890年、和歌山県串本沖で発生したトルコ軍艦のエルトゥールル号遭難事故。串本町大島の住民が総出で救助と生存者の介抱にあたったことは多くの人がご存じだろう。95年後の1985年、イラン・イラク戦争で今度はトルコが、イランに取り残されていた日本人200人を救ったのも串本での友情があったから。同じ日本人、和歌山県人として誇りであり、人のために全力を尽くす、古き良き日本人の気質であろう。
外国、とりわけ親日といわれる台湾にも日本人をたたえる逸話がたくさんあり、その中でも戦前、不毛地帯を大水田地帯に変えた八田與一という技師は現地では超有名人という。恥ずかしながら、半年ほど前に御坊日台友好協会の古山隆生代表に教えてもらうまで名前も聞いたことがなかった。台南市の烏山頭ダム建設の指揮を取り、万里の長城より長いといわれる水路を整備した功績は、現地の小学校の教科書に掲載され、銅像も建立されているほど。やはり同じ日本人として誇りであり、話を聞いてエルトゥールル号のことが頭に浮かんだ。直接の人命救助ではないが、現地住民の生活を守った恩人であることに違いない。
日本を訪れる外国人は近年急増している。関空行きの電車に乗ったつもりが和歌山へ行ってしまう外国人のためにボランティアで乗り換え案内している男性がいるとテレビで取り上げられていた。純粋な親切心はまだまだ日本人の心に通っている。もてなしの心は日本と外国の友好を結ぶきっかけになる。教科書に載らなくても、日本人として小さな親切心は持ち続けたい。 (片)