これから流行シーズンとなるインフルエンザの早期診断で患者の負担を軽減しようと、御坊市の国保日高総合病院は、最新型のインフルウイルス検査装置12台を導入し、今月から運用をスタートさせた。
インフルエンザウイルスは一般的に、感染から24時間以内ではウイルス量が少ないため、これまでの測定器では感染初期段階での判定ができないことが多かった。このため、体調を崩し感染が疑われる患者であっても、薬を提供できないまま「明日また来てください」と余計な負担をかけなければならないケースもあった。
今回導入したFUJIFILMが新しく開発した分析装置「IMMUNO AG1」は、ウイルスの検出感度が非常に優れており、これまで見過ごされてきた少量でも陽性(感染)判定できるのが特長。綿棒で鼻の穴から検体を取りだし、専用キットに入れれば15分で判定できる。早期発見、早期治療につながり重症化を防ぐことが期待できるほか、再来院の負担も減らせる。
同病院では昨年1月だけで615件、多いときは一日に40件の検査があるほど流行シーズンは検査結果待ちの時間が長くなることから、一気に12台を導入し、臨床検査科に8台のほか、救急室に2台、小児外来に2台を設置している。1施設に12台導入している病院は全国でも珍しいという。同病院臨床検査技師長の畑忠良さんは「インフルエンザは命にかかわることもある。とくに乳幼児に対してはしっかり判定が出てからでないと投薬等の治療がしにくいため、今回の装置は早期診断と治療に大きな威力を発揮してくれると期待しています。地域の中核病院として、患者の負担軽減、集団感染防止という役割を果たしていきたい」と話している。