世界農業遺産で梅産業の飛躍へ

 「みなべ・田辺の梅システム」が、国連食糧農業機関(FAO)が認定する世界農業遺産への登録が決まった。社会や環境に適応しながら長年にわたって発達し、形づくられた農業上の土地利用、伝統農業などを次世代へ継承することが目的で、FAOが平成14年から始めたプログラム。現在は国内で8地域が認定されている。
 みなべ・田辺の梅システムは養分の乏しい礫(れき)質の斜面を活用して自然と共生し、高品質な梅を生産してきた約400年にわたる農業の仕組み。梅林の周辺にウバメガシなどの薪炭(しんたん)林を残して水源涵養(かんよう)や崩落防止の機能を持たせつつ、林にすむミツバチが梅の受粉に役立つなど自然の共生関係を築いている。
 みなべ・田辺地域の狙いは登録を活用しての振興にもある。平成25年には静岡県の掛川市、菊川市、島田市、牧之原市、川根本町の4市町で行われている茶草場農法も登録されたが、掛川市によると「認知度は低く、登録されただけでは何も変わらない」という。世界農業遺産登録は地域振興のきっかけに過ぎず、同市などでは登録の半年後に茶草場農法で栽培されたという認証制度をつくり、商品の茶にシールを張るなどの取り組みを進めている。民間でもタクシーの運転手が農業システムを説明するガイドを行ったり、農家でも農業体験を取り入れたりする試みを始めたという。
 みなべ町・田辺市も、こうした意味ではスタートラインに立ったばかり。世界農業遺産登録に加え、ことしは南高梅誕生50周年、来年は「食べると病気にかからない」という12年に1度の申年の梅でもあり、アピール材料はそろった。あとは住民の知恵と熱意だけ。来年は梅産業が飛躍する年に。 (雄)

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