一般財団法人全日本剣道連盟の剣道七段審査会が先月25日に東京都・日本武道館で開かれ、県剣道連盟日高支部事務局長の小竹博久さん(45)=御坊市湯川町財部、しの友呉服店店主=が見事合格した。七段の段位は最低でも二十数年の修業を積み、精神面も含めた剣道の技術、力量に秀でた剣士に与えられ、審査の合格率はほぼ毎回20%を切る難関。今回は小竹さんが近畿地方で唯一の合格者で、日高支部では8年ぶりの七段剣士誕生となった。
小竹さんは剣道歴約38年。小学1年生から市内の剣道クラブ、弘武館に通い、中学、高校、大学進学後も剣道一筋に打ち込んできた。社会人になってからは東京都青梅市の呉服小売業に勤務の傍ら地元の西東京剣友会の一員として道場で汗を流し、26歳でUターン後は県剣道連盟日高支部に所属して印南町少年剣道クラブで子どもたちを指導しながら週3、4回竹刀を握ってきた。平成20年4月に六段に昇段。七段昇段には昨年春から4回目の挑戦。稽古の回数を増やしただけでなく、「基本を見つめ直して素振りに力を入れた」と初心に立ち返って心身を磨き、見事審査をパスした。
最高八段まである段位の受審資格は、初段合格後1年以上の修業で二段、二段合格後2年以上の修業で三段などと段位が上がるごとに1年ずつ修業の年数が加算される(七段から八段は10年以上)。七段では六段合格後から6年以上修業などの条件を満たさなければならず、最低でも二十数年の修業が必要。
七段の審査会は年に数回開かれる。90秒の立合い(試合)を2回、その合格者のみ「日本剣道形」計10本の審査があり、受審者同士の真剣勝負の立合いでは八段の審査員から着装と礼法をはじめ、姿勢、基本に即した打突、充実した気勢、応用技の錬熟度、勝負の歩合、風格、品位などを厳しく評価される。今回は受審者1329人、合格者247人で、合格率18・6%だった。
日高支部の7段合格者は約10人といい、審査合格は日高高校教諭の田中紀行さん(47)以来8年ぶり。小竹さんは「日高支部長の西田博洋先生、副支部長の橋本光先生をはじめ支部の先生方にはご指導をいただき、本当に感謝しています。誇れるような実績はないですが、コツコツと続けてきてよかったです」と喜びを表し、「これからも地域の子どもたちの指導を通じて青少年健全育成のお役に立ち、剣道に恩返しができれば」と話している。また、段位のほか「指導力や識見などを備えた剣道人としての完成度」を示す称号審査で「錬士」にもすでに合格しており、今後は「教士」を目指して鍛錬を積んでいくという。