がん細胞のようなテロ集団

 パリの大規模同時テロを受け、欧米各国はテロ対策を引き締め、米国を中心とする有志連合がシリアのIS拠点への空爆を強化している。今回のテロは追い詰められたISが海外で事件を起こし、敵の攻撃、捜査を撹乱する狙いがあったともいわれる。オウムの地下鉄サリン事件と重なる。
 約5年前、チュニジアで起きた民主化運動を発端に、反政府デモのうねりが周辺国に広がった。この「アラブの春」でエジプト、リビアなどでは独裁政権が倒れ、弾圧されていた民主化運動、宗教が解き放たれたが、混乱のなか、いわゆるイスラム過激派といわれるテロ集団が宗教と結びついた。
 ISは欧米の対IS有志連合を十字軍にたとえ、数年前までの弾圧から民衆を解放したのは自分たちかのようにふるまい、残虐なテロ行為を正当化する。仲間の勧誘にはSNSやスカイプを活用。貧困と差別にあえぐムスリムの若者を勧誘し、流出する難民にまぎれて活動域を広げている。それはまさにがんが増殖、転移していく動きに見える。
 人間の体内では、日々、無数の細胞ががん化し、キラーT細胞などの免疫系細胞がこれと闘い、健康を維持している。ISを新種のがんとすれば、有志連合の空爆は強力な放射線治療といえるが、これだけではがんを完全に消すことはできず、周囲の健康な細胞(一般市民)をも傷つけてしまう。
 がんは体のどこにできても不思議はなく、完全な予防法はない。ロシアや中国は国内に過激派組織を抱え、いつ暴走してもおかしくない。日本も伊勢志摩サミットを控え、今回のパリの事件で不安が広まっている。決して対岸の火事ではない。国はあらゆる対策(治療)を併用し、攻撃と体内のがん化阻止に全力を。(静)

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